プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 運命の95年ドラフト
高校時代からスター選手だった福留孝介が1977年に生まれた世代の顔。
中日か
巨人を希望していた95年秋のドラフトでは7球団が競合、交渉権を獲得した近鉄への入団を拒否して社会人へ進み、逆指名で99年に中日へ。積極的な打撃で2度の首位打者に輝き、2008年からはメジャーでプレー。阪神で日本球界に復帰し、第一線で活躍を続けている。
【1977年生まれのベストナイン】(1977年4月2日~78年4月1日生まれ)
投手
斉藤和巳(
ソフトバンク)
捕手
日高剛(
オリックスほか)
一塁手
ホセ・オーティズ(オリックスほか)
二塁手
荒木雅博(中日)
三塁手
エステバン・ヘルマン(
西武ほか)
遊撃手
藤本敦士(阪神ほか)
外野手 福留孝介(阪神)
葛城育郎(阪神ほか)
宮出隆自(
ヤクルトほか)
指名打者
アンドリュー・ジョーンズ(
楽天)
その95年ドラフトで中日がクジで福留を外し、もう一周して“外れ外れ”のドラフト1位で指名したのが荒木雅博だ。コーチ兼任ながら現役を続ける名二塁手。ブレークは福留より遅かったが、代走や守備固めで頭角を現し、のちに
落合博満監督の築いた黄金時代には不可欠な存在に。そして17年には通算2000安打にも到達した。福留と並んで、打線で圧倒的な存在感を放つ。
ここで荒木と二遊間を形成するのが藤本敦士だ。Vイヤーの03年に“恐怖の八番打者”と評された左打者で、最大の武器は堅実な遊撃守備。荒木が中日で
井端弘和と組んだ二遊間“アライバ”に負けず劣らず、同世代ならではのコンビネーションを見せてくれそうだ。
鷹のエースに充実のリリーバー

ソフトバンク・斉藤和巳
一塁と三塁にはオリックスと西武でプレーした助っ人が並ぶ。一塁のオーティズは来日1年目からオリックスで初打席本塁打、サイクル安打もマークした右の強打者。当時は二塁手だったが、リーグ最多の24失策を喫するなど、荒木の壁は越えられそうになく、ここでは西武時代に守った一塁に据えた。
13年に最高出塁率に輝いたのが三塁のヘルマンで、外国人選手では珍しい韋駄天タイプ。守備では内外野をこなす器用さも持ち味だ。指名打者も助っ人で、楽天に初の日本一をもたらした
ジョーンズ。日本人の野手は層が厚くなく、福留と外野陣を形成するのが投手出身の宮出隆自とパンチ力が魅力の葛城育郎だ。一方で捕手は日高剛と
鶴岡一成(横浜ほか)の二枚看板。司令塔に不安は少ない。
活躍した期間は短かったが、2000年代のホークスで球界を代表する右腕となった斉藤和巳(カズミ)がエースだ。01年に最多勝となった
藤井秀悟(ヤクルトほか)と左右両輪となりそうだが、先発陣も層は厚くない。
一方でリリーバーは充実している。速球派左腕の
石井弘寿(ヤクルト)を皮切りに、救援陣“SBM”の一角として10年に最優秀中継ぎ投手となった
ファルケンボーグ(ソフトバンクほか)、01年の最優秀中継ぎ投手で、やはり中継ぎ陣“クアトロK”を形成した
木塚敦志(横浜)、Vイヤーの98年に中継ぎとしてフル回転した
横山道哉(横浜ほか)、17年まで現役を続けた
安藤優也(阪神)と好投手がズラリと並ぶ。
安藤は05年に最高勝率となって優勝に貢献、自己最多の13勝を挙げた08年からは3年連続で開幕投手を務めており、ここでは現役生活前半のように先発投手として、斉藤、藤井との三本柱で計算したい。
戦力は盤石とは言えないが、バランスは悪くない。常勝とはならなくても、台風の目として優勝争いをかき回しそうな世代だ。
写真=BBM