プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 メジャー経験のある左の安打製造機
2018年に古巣のヤクルトでNPB復帰を果たし、通算打率の“規定打席”といえる通算4000打席を超えて、長らく
レロン・リー(
ロッテ)が君臨していた通算打率のトップへと躍り出た青木宣親のいる1981年に生まれた世代。安打製造機、左の好打者、メジャー経験者が多いのが特徴的な世代で、そのすべての要素を兼ね備えていることから“青木世代”と銘打ってみた。
前年の“松坂世代”ばかりが注目されがちだが、負けずとも劣らない黄金世代であり、投手層の厚い“松坂世代”とは対照的に打線が充実している世代でもある。
【1981年生まれのベストナイン】(1981年4月2日~82年4月1日生まれ)
投手
岩隈久志(
楽天ほか)
捕手
鶴岡慎也(
日本ハム)
一塁手
栗原健太(
広島ほか)
二塁手
田中賢介(日本ハム)
三塁手
川崎宗則(
ソフトバンク)
遊撃手
鳥谷敬(
阪神)
外野手
糸井嘉男(阪神)
青木宣親(ヤクルト)
マートン(阪神)
指名打者
ウィリー・モー・ペーニャ(ソフトバンクほか)
青木のいる外野には、
オリックス時代には青木と同様に首位打者、最高出塁率に盗塁王も経験した左打者の糸井嘉男に、右打者だが、シーズン安打で歴代2位のマートンと、歴代屈指のヒットメーカーが並ぶ。この外野陣だけでも、かなりの安打を量産してくれそうだ。
内野にはメジャーを経験した左打者が2人。二塁にいるのが名手の田中賢介で、三塁は世代きっての韋駄天でもある川崎宗則だ。
遊撃には連続試合出場を続ける鳥谷敬。17年は三塁、迎えた18年は二塁と、近年はチーム事情で守備位置を転々としているが、ここでは田中、川崎という名手の存在もあって、本職で真価を発揮してもらいたい。内野手では
脇谷亮太(
巨人)も同世代で、左の代打としても期待できそうだ。
時空を超えた鷹の救援リレーも
右打者で一塁にいる栗原健太は低迷期の広島を支え続けた和製大砲で、指名打者のペーニャも3球団を渡り歩いた右の長距離砲。司令塔の鶴岡慎也は川崎と並んでムードメーカーとしてもチームを盛り上げてくれるだろう。
この打線の隠れた持ち味は堅守。マートンは穴だが、ほかの7人の野手すべてがゴールデン・グラブの受賞者だ。俊足も武器の青木や糸井がマートンをフォローすることになりそうだが、控えにはスイッチヒッターの
藤井淳志(
中日)もいて、攻守走に盤石と言える。
この世代のエースは、近鉄の最後、そして楽天の初代エースでもあり、18年も米球界でプレーを続ける岩隈久志だ。故障と闘いながら投げ続けた
朝倉健太、阪神の助っ人エースとして9年目を迎える
メッセンジャーで、右の先発三本柱だ。
左腕は不在。“松坂世代”の分厚さに比べれば、長期戦では苦しいローテーションを強いられるかもしれない。
それでも、試合の前半で失点を少なく抑え、打線が1点でもリードしていれば、勝利は見えてくる。セットアッパーはオリックスから、馬原孝浩(ソフトバンクほか)と
岸田護(オリックス)の右腕2人。馬原はソフトバンクとなったホークスでクローザーを担ったが、その後に絶対的クローザーとして君臨している
サファテ(ソフトバンク)も同世代だ。サファテの酷使を避けるため、馬原とのクローザー二枚看板というのもおもしろそうだ。
やはり“松坂世代”との激突が見てみたい世代だ。1学年上の投手陣が充実した“最強の盾”に対して、強力打線の“最強の矛”。球史に残る名勝負となるはずだ。
写真=BBM