プロ野球史を彩ってきた数多くの名選手たち。生まれた世代ごとに週刊ベースボールONLIN編集部がベストナインを選定して、“史上最強世代”を追いかけてみる。 ゴールデン・グラブ受賞者だけの内野陣
前年に続いて打線が充実している1982年に生まれた世代。この世代の顔とも言える存在は、通算2000安打に到達したばかりの内川聖一だろう。横浜時代の2008年に続いて、ソフトバンク移籍1年目の11年にも首位打者に輝き、史上2人目の両リーグ首位打者となって日本一の原動力になった。
安定感に長打力、勝負強さも兼ね備え、13年からは5年連続で2ケタ本塁打。黄金時代を謳歌するソフトバンクの中心選手でもある。
【1982年生まれのベストナイン】(1982年4月2日~83年4月1日生まれ)
投手
内海哲也(
巨人)
捕手
山崎勝己(
オリックス)
一塁手
畠山和洋(
ヤクルト)
二塁手
片岡治大(巨人ほか)
三塁手
中島宏之(オリックス)
遊撃手
藤田一也(
楽天)
外野手 内川聖一(ソフトバンク)
亀井善行(巨人)
鉄平(楽天ほか)
指名打者
李大浩(オリックスほか)
現在は一塁手の内川だが、ここでは15年まで守っていた外野へ。一塁にはヤクルト勢の強打者が重なる。その15年に打点王となった畠山和洋をベストナインに選んだが、
ロッテ時代にプロ初本塁打をグランドスラムで飾った
大松尚逸(ヤクルト)も同世代だ。12年の打点王で、ソフトバンクで内川の前に一塁を守っていた李大浩は指名打者に据えた。
二塁にも名手が重なった。07年から4年連続で盗塁王となった片岡治大(易之)に、堅守を誇る藤田一也、ヤクルトで長く活躍し、18年も現役を続ける職人タイプの
田中浩康(
DeNA)もいる。ここでは藤田を横浜時代に経験が多かった遊撃に回し、若手時代は遊撃手だった中島宏之(裕之)を内川とは逆に現在の三塁に置いた。
中島も巧打に強打を兼ね備えた右打者。三塁手では外国人選手ながら育成から這い上がった
バルディリス(オリックスほか)もいて、3チームを堅守で支えたバイプレーヤーだ。内野でラインアップに並んだ全員がゴールデン・グラブ経験者。コンバートも多いが、守備に不安はなさそうだ。打線の充実とならんで、堅守も前年から踏襲している特徴と言えるだろう。
巨大戦力から先発三本柱

巨人・内海哲也
外野にも09年に首位打者となった(土谷)鉄平に、勝負強い打撃で18年も巨人を支える亀井善行(義行)、そして内川と好打者が並ぶ。
ゴールデン・グラブ受賞者は亀井のみで、内野に比べれば守備に不安は残るが、“スパイダーマン”
赤松真人(
広島)もいて、そんな不安をも払拭させるほどの名手。ソフトバンクから経験豊富なベテランとしてオリックスへ移籍した山崎勝己が司令塔だ。
ともに近年は故障もあって苦しんでいるが、左腕の内海哲也、右腕の
攝津正(ソフトバンク)が投手陣の左右両輪で、最多勝の経験者。それぞれ両リーグの盟主を支えた2人の好投手に、
中日時代は“暴れ馬”と呼ばれた右腕の
中田賢一(ソフトバンク)で先発三本柱だ。
リリーバーではセットアッパーで
押本健彦(ヤクルト)、長身サイドスローの
梅津智弘(広島ほか)。クローザーでは2年連続セーブ王となった
呉昇桓(
阪神)がいるが、前年の世代に続いて長期戦では苦しみそうだ。
この世代は、やはり打線が勝負のカギを握っていそうだ。NPBでのプレーが短いため控えに回ったが、13年に楽天を五番打者として初優勝、日本一へと導いた
マギー(巨人)も同世代。本塁打王こそいないが、首位打者2人に打点王2人、盗塁王もいる。その堅守も層が厚いとは言えない投手陣には心強い。
写真=BBM