いよいよ第100回の大きな節目を迎える夏の甲子園。その歴史にこそ届かないが、80年を超えるプロ野球を彩ってきた選手たちによる出身地別のドリームチームを編成してみた。優勝旗が翻るのは、どの都道府県か……? 多士済々の有力選手
商業の町として長い歴史を誇る博多は今も九州の経済を引っ張り、九州の各県から“大都会”を目指して人々が集まってくる。博多ラーメンを皮切りに、もつ鍋や明太子などのグルメも豊富。夏は蒸し暑いが、冬は季節風が吹きこんで寒く、春になると風向きによっては大陸から黄砂が飛んでくることもある。
県民性は情熱的で郷土愛も強く、1950年代に黄金時代を築いたライオンズも、99年の初優勝から黄金時代を走り続けるホークスも、熱狂的な地元ファンが多い。そんな福岡県の出身プロ野球選手たちはクセ者ぞろい。長打力に機動力を兼ね備えた強力打線となった。
【福岡ドリームチーム】
一(二)
金山次郎(松竹ほか)
二(右)
平井光親(
ロッテ)
三(三)
松永浩美(阪急ほか)
四(左)
小鶴誠(松竹ほか)
五(遊)
真弓明信(阪神ほか)
六(一)
村田修一(
巨人ほか)
七(中)新庄剛志(阪神ほか)
八(捕)
若菜嘉晴(阪神ほか)
九(投)
杉内俊哉(巨人)★
(★は現役)
守備位置で“本業”ではないのが村田修一の一塁だが、巨人では“副業”で一塁もこなした。猛虎フィーバーに沸いた85年は「一番・右翼」として阪神を日本一へと引っ張った真弓明信は、もともとは遊撃手だ。
三塁には強打者が重なる。本塁打王2度の村田に三塁を譲らなかったのが松永浩美で、左右両打席から本塁打を連発した強打のスイッチヒッター。いぶし銀の
角富士夫(
ヤクルト)も三塁手だ。
一方、福岡で最初の黄金時代を支えた
仰木彬(西鉄)もいる二塁には韋駄天が多い。現役の
田中賢介(
日本ハム)や
本多雄一(
ソフトバンク)を抑えて二塁に就いたのが盗塁王3度の金山次郎。同様に、赤嶺昌志とともに数チームを渡り歩いたのが小鶴(飯塚)誠だ。松竹“ミサイル打線”の四番打者として50年に打撃2冠に輝いた和製大砲で、ここでは
中日時代に守った左翼に入った。
右翼は91年に首位打者となった平井光親の本職。中堅と右翼で黄金時代を支えた俊足巧打の
柴原洋(ソフトバンク)もいるが、中堅には
島田誠(日本ハムほか)と新庄剛志(SHINJO)という日本ハム新旧の中堅手が重なっている。ここでは実績よりも強烈な存在感で新庄に軍配。外野手では
山本和範(カズ山本。ダイエーほか)も存在感なら負けていない。
司令塔は若菜嘉晴。3チームで球宴に出場した強肩強打の捕手だ。
プロ野球の“事件史”に顔を出すクセ者が目立つのも特徴的なラインアップだが、九州時代のライオンズやホークスを経験した選手だけでオーダーを組むこともできそうなほど、地元のチームで活躍した選手が多いのも大きな特徴と言える。
左腕王国は右腕も充実
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ソフトバンク・杉内俊哉
エースにはソフトバンク時代の2005年にMVPとなった杉内俊哉を選んだが、日本ハム時代の12年にMVPとなった
吉川光夫(巨人)もいて、ともに左腕で、パ・リーグMVP経験者で、巨人の現役選手だ。
左腕ではプロ1年目から2年連続で最優秀防御率となった
安田猛(ヤクルト)、古くは2ケタ勝利3度の
畑隆幸(西鉄ほか)もいて、左腕王国ともいえる陣容。
右腕でもナックルを駆使した
天保義夫(阪急)やプロ1年目から投手3冠に輝いた
宅和本司(南海ほか)、現役の
中田賢一(ソフトバンク)もいて、左右に盤石だ。
小川健太郎(中日ほか)は打線に負けないクセ者。最多勝も経験した右腕だが、
王貞治(巨人)に対して4球だけ投じた“背面投げ”により、球史で異彩を放っている。
写真=BBM