
日本ハム育成ドラフト1位・宮田輝星の座右の銘は「思考力」。頭で考えて動くことでこの4年間、レベルアップを続けてきた
10月17日のドラフト会議で日本ハムから指名を受けた選手が11月7日、千葉・鎌ヶ谷の二軍球団施設を見学した。
野球だけに集中できる充実した環境に目を輝かせたのが、育成ドラフト1位の福岡大・宮田輝星である。
好きな言葉は「思考力」。まるで脚本家のように『宮田輝星物語』を描いてくれた。
「(支配下登録期限の)7月31日までアピールして、8月以降に守備・代走要員として10試合以上に出場する。それが理想的ですが、実現しなかった場合は2年目のキャンプで支配下になり、守備・走塁で認めてもらった後は、打席に立って先発でもチームに貢献できたらいい。3年目には先発定着。でも、うまくいかないこともあるはず。仮に二軍降格しても、腐らずにやりたいと思います」
宮田輝星、と書いて「みやた・ほくと」と読む名前が話題先行している。日本ハムには来年、高卒2年目を迎える一文字違いの右腕・
吉田輝星が在籍しているからだ。
「読み方がまず、珍しいので、一発での正解は一度もないです。(吉田が在籍した)金足農高が昨夏の甲子園に出場する前、SNSで回ってきて知りました。似ているな、と。吉田投手は素晴らしい選手ですから、刺激になります。ずっと比べられると思うので、早く追いつかないといけない。吉田投手が投げて、自分が外野を守ることがあれば『縁がある』と初めて思えますが、まだ、入っただけなので……。いつか一軍で、同じスコアボードに表示されたときに感じると思います」
50メートル走5秒9の俊足を前面に、中堅の守備範囲も広い。また、大学3年時から挑戦したスイッチヒッター(もともとは右)も脚力を生かす意味で、大きな武器。右と左でバットの形状を変え、道具にもこだわりがある。
脚本家・宮田の物語には「続編」がある。
「プロ6~8年目までには最多安打、200安打、盗塁王も取らないといけない」
目標こそが、アスリートとしてのモチベーション。「誰よりも一番、輝いてほしい」と、名付けた父・成男さんは宮田が高校2年時に病気で亡くなった。「プロ入りを一番、喜んでくれたと思う。少しでも恩返ししていきたい。3年で結果を出す自信はあります」。取材中、宮田の目はずっと輝いていた。
文=岡本朋祐 写真=BBM