栄誉ある
巨人の四番打者は、
川上哲治や
長嶋茂雄、
王貞治といった球史に残るレジェンドが務めてきた。現在は
岡本和真が89代目の四番を務めているが、助っ人としてやってきた外国人選手がその大役を任されることも少なくない。今回は、巨人の四番を務めた助っ人外国人の中で、活躍した選手と期待に応えることができなかった選手を調べてみた。
最も好成績を残したのはあの最強助っ人……
巨人の四番打者は、初代の
永沢富士雄から岡本まで89人が務めている。このうち、助っ人として加入した外国人選手は18人(
アレックス・ラミレスなどNPBの別球団から加入した外国人選手、ドラフト外入団の
呂明賜は除外)。以下にこの18人の「四番を任されていた期間の成績」をまとめた。
・第20代四番
宮本敏雄(在籍:1955~1966年)※日系アメリカ人
試合:21 打数:71 安打:14 本塁打:1
打点:5 打率:.197
・第23代四番
柏枝文治(在籍:1955年)※日系アメリカ人
試合:2 打数:7 安打:0 本塁打:0
打点:0 打率:.000
・第24代四番
与那嶺要(在籍:1958年)※日系アメリカ人
試合:35 打数:118 安打:34 本塁打:6
打点:19 打率:.288
・第41代四番
デービー・ジョンソン(在籍:1976年)
試合:4 打数:13 安打:2 本塁打:1
打点:2 打率:.154
・第44代四番
ロイ・ホワイト(在籍:1980~1982年)
試合:77 打数:274 安打:73本塁打:11
打点:43 打率:.266
・第46代四番
ゲーリー・トマソン(在籍:1981年)
試合:26 打数:96 安打:23 本塁打:3
打点:11 打率:.240
・第49代四番
レジー・スミス(在籍:1983~1984年)
試合:30 打数:98 安打:26 本塁打:12
打点:27 打率:.265
・第50代四番 ウォーレン・クロマティ(在籍:1984~1990年)
試合:174 打数:658 安打:219 本塁打:32
打点:121 打率:.333
・第54代四番
マイク・ブラウン(在籍:1990年)
試合:1 打数:4 安打:1 本塁打:0
打点:0 打率:.250
・第55代四番
フィル・ブラッドリー(在籍:1991年)
試合:3 打数:12 安打:0 本塁打:0
打点:0 打率:.000
・第56代四番
ロイド・モスビー(在籍:1992~1993年)
試合:12 打数:43 安打:8 本塁打:1
打点:7 打率:.186
・第57代四番
ジェシー・バーフィールド(在籍:1993年)
試合:22 打数:74 安打:15 本塁打:4
打点:8 打率:.203
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巨人・マック
・第63代四番
シェーン・マック(在籍:1996年)
試合:18 打数:71 安打:20 本塁打:4
打点:13 打率:.282
・第77代四番
ホセ・ロペス(在籍:2013~2014年)
試合:3 打数:11 安打:1 本塁打:0
打点:0 打率:.091
・第78代四番
ジョン・ボウカー(在籍:2013年)
試合:1 打数:1 安打:0 本塁打:0
打点:0 打率:.000
・第79代四番
レスリー・アンダーソン(在籍:2014~2015年)
試合:16 打数:56 安打:19 本塁打:2
打点:9 打率:.339
・第80代四番
フレデリク・セペダ(在籍:2014年)
試合:18 打数:53 安打:9 本塁打:3
打点:11 打率:.170
・第85代四番
ギャレット・ジョーンズ(在籍:2016年)
試合:41 打数:144 安打:31 本塁打:7
打点:21 打率:.215
四番を任された助っ人外国人の中で、最も好成績を残したのはウォーレン・クロマティ。同時期に
原辰徳という不動の四番打者がいたため長期間四番を務めることはなかったが、それでも174試合で四番を務め、通算219安打、32本塁打、121打点は立派なもの。巨人史上最強の助っ人と呼ばれるだけはある。
クロマティ以外では、1980年代前半に在籍したロイ・ホワイトが比較的好成績を残した助っ人だといえる。
ヤンキースで長く主軸を務めた選手で、その勝負強いバッティングを買われて入団。当時は
中畑清が主に四番を任されていたが、ケガによる離脱時や不調の際にはこのホワイトが代わりに四番に座り、巨人打線を支えた。
チームの期待に応えられなかった助っ人四番打者は?
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巨人・トマソン
チームの主砲として期待されながら、好成績を残せなかった選手としては、まずはゲーリー・トマソンが挙げられる。MLBでの実績もある大物助っ人で、1年目は120試合に出場して105安打、20本塁打を記録。助っ人としてはまずまずの成績だったが、肝心な場面でことごとく凡退。三振の山を築きまくった結果、当時球団新となる132三振を記録した。引退した王貞治に代わる主砲としての期待が大すぎたのも不運だった。
また、2014年に加入したフレデリク・セペダも、四番としての期待に応えられなかった選手だ。キューバ代表の主砲として活躍し、「キューバの至宝」と称されたセペダは、初出場でいきなり四番で出場。その試合は初タイムリーを放つなど好調だったが、次第に調子を落とし、四番から外されることになった。結局入団1年目はケガで離脱したこともあり52試合で打率.194と低迷。翌年も極度の打撃不振に陥り、20試合に出場しながら1本のヒットも打てずに退団した。
今シーズンの巨人は、MLBでの実績がある大物選手
ヘラルド・パーラを獲得。長距離砲タイプではなく、そもそも巨人は岡本という不動の四番がいるため、パ―ラが四番を任される可能性は低い。ただ、パーラが期待以上の長打力を発揮し、岡本が不調に陥った場合は、パーラが四番を任されることも考えられる。その場合にどのような成績を残すのか注目だ。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM