衣笠祥雄の2215試合連続出場や、
金本知憲の1492試合連続フルイニング出場など、プロ野球にはさまざまな「連続記録」がある。その中には、あまり有名ではない連続記録も少なくない。今回は、「意外と知られていない連続記録」を紹介する。
珍しい「連続記録」とは?
●過去2人しかいないレア記録「1試合での4打席連続本塁打」
2試合にまたがって達成されることの多い連続打数本塁打記録だが、1試合で、しかも四球などを挟まない「4打席連続での本塁打」となると非常にレア。過去に
巨人の
王貞治(1964年5月3日、
阪神戦=後楽園)と日本ハムの
ナイジェル・ウィルソン(97年6月21日、近鉄戦=大阪ドーム)の2人しか達成していない。

横浜・ドミンゴ
●ずっと三振「連続打席三振」
何打席も連続して三振をしてしまう「連続打席三振」は、
中日や横浜、
楽天でプレーした
ドミンゴ・グスマンの18打席連続三振が最多。これは世界記録で、横浜在籍時の2003年に記録した。投手は打席に立っても積極的に打つことはあまりないが、それでもずっと三振というのはなかなかない。ちなみにドミンゴは連続ではないものの、1イニングに3ボークというとんでもない日本記録も持っている。
ドミンゴの記録は投手のものだが、野手の場合は、2006年に楽天の
鉄平が記録した9打席連続三振が最多。これだけ三振を重ねた年は成績も芳しくなさそうだが、なんとこの年は103試合に出てチーム2位の打率.303を記録。その後、2009年には首位打者も獲得している。

中日・ウッズ
●生涯一度も三塁打なし「連続打席生涯無三塁打」
連続して三塁打が出ない「連続打席無三塁打」という記録もあまり知られていないが、この記録保持者がまた意外。なんと3度の本塁打王に輝いた強打者
タイロン・ウッズなのだ。2003年に横浜に入団して2008年に中日を退団するまで2940打席連続で三塁打なし。そこまで鈍足ではなかったが、1度も三塁打を打つことはなかった。
●1イニングに何度もポロリ「1イニング連続失策」
1試合に何度もエラーをしてしまう「失策記録」は1リーグ時代の1949年に南海・
木塚忠助が記録した6失策が最多。しかし、「1イニング」では、同じく1949年に大阪の
本堂保次が記録した1イニング4失策が最多。これは阪神の1試合ワースト記録でもある。ちなみに、木塚の1試合6失策も、本堂の1イニング4失策もともに1949年9月29日の西宮球場で記録されたもの(ダブルヘッダーで2試合行われていた)。2人とも守備の名手と称される選手だっただけに、この日の西宮球場には何か特殊な力が働いていたのかもしれない。
●打線が止まらない「1イニング連続安打記録」
くしくも同じ日に記録された連続記録では、1度もアウトを挟むことなく安打が続く「1イニング連続安打記録」が挙げられる。NPB記録は「10者連続」が最多で、なんと
ロッテと
オリックスが同じ2010年6月7日に達成している。ロッテは
ヤクルト戦で、オリックスは
広島戦での記録だが、ロッテは1イニングに10点、オリックスは8点を奪っている。特にオリックス対広島戦は21対10という野球とは思えないスコアだった。ちなみに、四球と犠飛を挟んでの連続打数安打記録は11が最多。1999年に横浜、2009年にはヤクルトが記録している。
●5人連続は球場も大盛り上がり「1イニング連続打席本塁打」
連続本塁打というと、1985年の阪神バックスクリーン3連発が有名だが、NPB記録では「5者連続」が最多記録。1971年5月3日の東映対ロッテ戦、10回表の東映の攻撃時に、
作道烝、
大下剛史、
大橋穣、
張本勲、大杉勝男が連続して本塁打を放ち達成した。
意外と知らない「連続記録」をピックアップしてみた。ドミンゴの「連続打席三振」やタイロン・ウッズの「連続打席生涯無三塁打」を知らないかったという人は意外といるのではないだろうか。今シーズンは新型コロナの影響でいつもとは異なるシーズンになりそうだが、そんなときほど珍しい記録が出るかもしれない。かつてない連続記録が登場する可能性もあるので、ぜひ毎試合注目してもらいたい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM