セ・リーグの守護神たちが例年にない異変に見舞われている。開幕してまだ1カ月も経たないうちに、4球団の守護神が故障や不調で外れることに。
DeNA・
山崎康晃、
ヤクルトの
石山泰稚も本調子と言えず、ヒヤヒヤさせる登板が多い。新型コロナウイルスの影響でシーズンは120試合と例年より試合数が少ないが、6連戦が続く過密日程が続く。守護神が不安定だと他の救援陣にもしわ寄せがきて勝てる試合を落とす危険性が出てくる。各球団の守護神は誰が適任だろうか。
【巨人】
昨年7月から守護神に配置転換され、リーグ優勝に大きく貢献したデラロサが左ワキ腹の肉離れで7月6日に登録抹消された。今季6試合登板で防御率1.80と抜群の安定感だっただけに大きな痛手だ。16年に37セーブで最多セーブ賞の実績がある澤村拓一が代役として最有力だったが、制球難で不安が残る。当面は18、19日のDeNA戦(横浜)で2試合連続セーブを挙げた
中川皓太がデラロサが戻ってくるまで守護神の座を務めそうだ。

DeNA・山崎康晃
【DeNA】
7月20日現在、絶対的守護神・山崎康晃がリーグトップの6セーブを挙げているが、投球内容は不安定だ、登板した9試合すべての試合で安打を打たれ、19日の巨人戦(横浜)でも1点リードの9回に登板も同点に追い付かれ、代わった
国吉佑樹が勝ち越し2ランを浴びて山崎は2敗目を喫した。伝家の宝刀・ツーシームが簡単に見切られ、直球も145キロ前後と相手を圧倒する迫力がない。リーグ優勝に不可欠な右腕だが、このまま状態が上がらなければ、
三嶋一輝、
パットンを代役に立てることも検討しなければいけない。
【阪神】
39歳右腕・藤川球児が守護神を託されたが、開幕から5試合登板で2敗2セーブ、防御率15.75。6月25日のヤクルト戦(神宮)で西浦直享にサヨナラ3ランを浴びると、今月11日のDeNA戦(甲子園)でも1点リードの9回に登板してソトに勝ち越し弾を浴びるなど3失点。「火の玉ストレート」と形容された生命線の直球に威力がなく、ファームで再調整となった。代役は
スアレス、
岩崎優らセットアッパーが務めると見られ、「日替わりクローザー」で戦う公算が高そうだ。
【広島】
開幕時は新外国人・スコットが務めたが、緩急差がなく痛打される登板が続いた。7月2日のヤクルト戦(神宮)では一死も奪えず、
村上宗隆にサヨナラ満塁弾を浴び、5試合登板で防御率21.00.一軍の打者を抑えるのは厳しいレベルでファーム再調整し、17日に一軍再昇格。しかし、18日のヤクルト戦(マツダ広島)の6回に登板も1回を3安打2四死球で3失点と結果を出せなかった。
中崎翔太が長年守護神を務めてきたが、本来の状態とは程遠い。昨季チームトップの12セーブをマークした
フランスア、勝利の方程式を担う
菊池保則らが有力候補でブルペン陣の再構築が必要だ。
【中日】
昨季13セーブをマークした岡田俊哉が守護神に指名されたが7月20日現在、14試合登板で防御率3.86と首脳陣の期待に応えられない。7月9日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)では3安打2四球で4失点の乱調で逆転負けを喫し、中継ぎに配置転換された。来日3年目のR・マルティネス、
福敬登、
祖父江大輔が代役候補だが、強心臓で三振奪取能力が高い
藤嶋健人も抑えの資質を備えている。
与田剛監督は誰を新守護神に指名するか。

ヤクルト・石山泰稚
【ヤクルト】
2018年に35セーブをマークした石山泰稚だが、今年は7月20日現在、12試合登板で防御率3.86と安定感を欠いている。11試合登板で三者凡退に抑えたのは3度のみで、走者を得点圏に背負ってピンチを作るパターンが目立つ。来日2年目の
マクガフが本来の調子でなく、ブルペン陣を支える
清水昇、
寺島成輝、
梅野雄吾はキャリアがまだ浅い。石山が守護神として稼働するかがチームの命運を握っていると言っても過言ではないだろう。
写真=BBM