先発ローテ入りの期待が高い高橋昂、矢崎

トミー・ジョン手術からの復活で来季の先発入りを目指す高橋昂也
佐々岡真司監督の初年度は期待を裏切る5位に終わった
広島。ドラフトで指名した選手の仮契約が全員終了、新外国人選手も決まり、来季に向けた陣容がほぼ固まってきた。そこで、ここでは来季の布陣や定位置争いでポイントとなるポジションはどこかを考えていきたい。
まずチームにとって最大のポイントであり、見どころでもあるのが、先発ローテーションの顔ぶれに誰が入ってくるかだろう。今季後半は、
大瀬良大地、
野村祐輔、ジョンソンと、当初の布陣から3人もが戦列離脱。かなり大きな穴が空いていると言っていい。まず、今季の活躍から、来季も先発ローテーション確定と言っていいのは、
九里亜蓮と
森下暢仁の2人。
遠藤淳志は勝ち星こそ5勝にとどまったが、年間先発ローテを守り切っており、立ち上がりに点を取られる点さえ克服できれば勝利数が伸ばせる可能性を見せた。これも調整が順調なら有力だろう。
ただそれでも、6つの枠のうち、まだ半分は空いている。今季の実績では、後半戦に追い込んで5勝まで積み上げた
床田寛樹が続くが、防御率は5点近かっただけに、来季は他の候補者と横一線からのスタートになるか。今季後半の戦列離脱者では、やはりエースの大瀬良の復活に期待がかかる。というより、ここは復活してもらわなければ計算が立たないところか。野村はすでにキャッチボールを開始しており、来春のキャンプを目指している。
今季在籍の現有戦力で、来季ローテーション入りへの期待が高いのは、高橋昂也と
矢崎拓也の2人だ。高橋昂は昨年2月にトミー・ジョン手術を受け、復活へリハビリを積んできた。11月の宮崎フェ
ニックス・リーグでは、7回自責点0の投球を2度見せるなど、好内容だ。2018年には先発で勝利を挙げており、素材は一級品。広島では床田というトミー・ジョン手術からの成功例があるだけに、それに続くかと期待がかかる。また、矢崎は近年は高い三振奪取率の一方で制球難に苦しんできたが、「2.5軍」で投球メカニックを再確認し、変化球の安定度を増した。宮崎フェニックス・リーグでは、4試合に先発し、26イニングで自責点は1点のみと毎試合好投。ここでつかんだものを来季につなげられればブレークも。ほかには育成の
コルニエルも宮崎フェニックス・リーグでは好投を見せており、秘密兵器になるかも。
ここに、ドラフト1位ルーキーの
栗林良吏、新外国人の
ネバラスカス(前パイレーツ)を加えたメンバーが先発ローテーションの枠を争うことになりそうだ。
野手では正左翼手争いが注目
リリーフのほうは、今季後半、
塹江敦哉、
ケムナ誠、
フランスアで形が固まったが、塹江とケムナは来季が実質2年目、塹江はシーズン後半はややキレを失っていた感もあるだけに、オフにしっかり疲れが取れればいいが、来季をこれでよし、と計算するのは少し危険だろう。層を厚くし、勝ちパターンの投手を4人ぐらい準備して、うまく休ませながら使える形を目指したい。
島内颯太郎を第1候補に、
田中法彦や
藤井黎來、ルーキーの
大道温貴、
森浦大輔がどこまで食い込んでくるか。栗林がリリーフに回る可能性もある。
野手の定位置争いでは、レフトが注目だ。実績では
長野久義だが、
大盛穂がどこまで迫れるか。打線を考えれば、レフトに入る選手が一番を打てれば形が整うので、大盛が打力を見せられればチャンスも。今年10月にかかとを手術した
宇草孔基も、元通り走れるようになれば、この争いに参戦してきそうだ。また、元気ならレギュラー確定の
西川龍馬も11月に右足首を手術していて出遅れる可能性があり、その場合はシーズン序盤はこの争いがセンターを含めた形に拡大する可能性も。打力の向上次第では
野間峻祥がここに加わってくることになる。
内野は、新外国人
クロン(前ダイヤモンドバックス)の守備力次第だが、このクロンと
松山竜平、
堂林翔太が3人でファースト、サードの2ポジションを分け合う形になるか。セカンド、ショートは、
田中広輔、
菊池涼介の「タナ・キク」コンビが、レギュラーという意味では安泰だが、そろそろフル出場は計算できなくなってきているのも事実で、休んだときに代われる若手の存在がチームにとっては隠れたテーマ。
小園海斗やルーキーの
矢野雅哉がどこまで突き上げを見せられるかが注目ポイントになってきそうだ。
文=藤本泰祐 写真=BBM