4年前にも考えた引退

通算101試合目のマウンドでは、決め球のフォークで空振り三振を奪った
短く太い、7年間のプロ野球人生だった。今季は一軍で投げることができなかった
浦野博司は潔く、ユニフォームを脱いだ。10月31日に行われた引退会見で「1年間フルで活躍するのが真のプロ野球選手だと思っている」と現役を退く理由を明かした。結果を出せなかった現実と向き合い、けじめを付けた。
4年前も1度は引退を考えた。チームが日本一に輝いた2016年は右肩痛に襲われた。「骨が壊死していると言われました」。炎症で痛みが出るケースが多いが、浦野は珍しい症例だった。回復へ自然治癒を選択。日光に当たれば回復も早いと聞けば、延々とグラウンドをウオーキングすることもあった。野球人生をかけたリハビリは功を奏し、骨は無事に蘇生。絶望からはい上がると17年5月5日の
オリックス戦(京セラドーム大)で695日ぶりの白星を挙げた。
故障に苦しむことも多かったが、今季は大きなケガもない中で引き際を悟った。引退登板では投球前から号泣。最後は決め球のフォークで空振り三振を奪った。先発、中継ぎ、抑えと何でも器用にこなし、同慮からも愛された右腕は「幸せな野球人生だった」と振り返った。
写真=BBM