
昨年、開幕から13連勝のNPB記録を打ち立てた菅野
昨シーズン、大きな注目を集めたのが
巨人・
菅野智之の連勝だ。自身6度目の開幕投手となった6月19日の
阪神戦から、10月13日の
広島戦までなんと13連勝を記録。「開幕投手」の連勝としてはNPB新記録となった。今回は、こうした「開幕戦からの連続記録」をピックアップして紹介する。
今季も開幕連続記録の更新なるか!?

両打ちの好打者だったスティーブ
●開幕戦からの連続出塁……40試合 スティーブ・オンティベロス(
西武/1983年)
開幕戦からの連続出塁は、1983年に元西武のスティーブがマークした40試合がNPB記録だ。西武在籍6年で打率3割を5度記録した巧打者で、チームの優勝にも貢献した。1979年に「クラウンライター」から「西武」になって以降、初めて退場処分を受けた西武の選手でもある。昨シーズン2000安打を達成した巨人の坂本は、開幕から36試合連続出塁というセ・リーグ記録を打ち立てたが、実は日本記録までもあと4試合と惜しいところまで迫っていた。

97年、和田は打率.300、2本塁打、26打点をマーク
●開幕戦からの連続試合安打……24試合
和田豊(阪神/1997年)
開幕戦からの連続試合安打記録は、元阪神の和田の24試合が最多だ。この年の和田は絶好調で、阪神のリードオフマンとして開幕からチームを牽引。7月13日の
中日戦で死球を受けて一時戦線離脱するも、最終的に3割をマークする活躍を見せた。「たられば」だが、もし和田が死球で離脱しなければ、
高橋慶彦が広島時代にマークした33試合連続安打という大記録を更新できていたかもしれない。
●開幕戦からの連続無安打……41打席
廣岡大志(
ヤクルト/2019年)
元西鉄の
浜村健史も同じく「開幕からの41打席無安打」を記録しているが、これは開幕2戦目からのカウント。「開幕戦から」で見た場合は、2019年にヤクルトの廣岡(現巨人)が記録した41打席無安打が野手登録選手では最長だ。2018年に元
ロッテの
岡田幸文が(開幕からではない)59打席連続無安打という大記録を樹立したが、この数字を越えてしまうのではないかという大不振であった。
●開幕戦からの最多連勝……11 西鉄(1954年)、中日(1999年)
開幕戦から勝ち続けたチーム記録では、1954年の西鉄と、1999年の中日が達成した11連勝が最多となる。1954年は後の西鉄黄金期を支える面々が台頭した年で、南海を抑えて初のリーグ優勝を成し遂げた。1999年の中日も、開幕ダッシュに成功したことで2位に6ゲーム差をつけてリーグ優勝を達成している。
●開幕戦からの最多連敗……12 トンボ(1955年)、西武(1979年)
「連敗」の記録は12試合が最長で、1955年のトンボユニオンズと1979年の西武が記録した。1955年は、高橋ユニオンズからトンボユニオンズへと名称を変えた記念すべき年だったが開幕12連敗と絶不調で、首位から57ゲーム差の最下位でシーズンを終えている。西武も、1979年はクラウンライターから西武に親会社が変わって1年目という大事な年だったが、引き分けを挟んで12連敗と厳しいスタート。最下位争いから抜け出すことはできなかった。

小久保ら強打者がそろった04年の巨人打線
●開幕戦からの連続試合本塁打……33試合 巨人(2004年)
2004年の巨人は
小久保裕紀や
タフィ・ローズといった大砲を補強し、12球団屈指の打線を形成。その甲斐もあり、開幕から33試合連続本塁打という歴代最長記録を更新した。その後も重量打線の勢いは止まらず、シーズン総本塁打は259本でこれもプロ野球新記録。しかし、投手陣が安定しなかったことで打ち負ける試合が増え、残念ながらリーグ3位に終わっている。
●開幕戦からの連続試合無本塁打……13試合
反対になかなか本塁打が出なかったのが2016年の
オリックス。期待の新人・
吉田正尚や実績のある
小谷野栄一、
糸井嘉男、
T-岡田と迫力ある打線ではあったが、一発が遠かった。ようやく本塁打が出たのは4月13日の
日本ハム戦で、5回に糸井が待望のチーム1号を記録。試合も延長の末に勝利した。
試合を問わずの連続記録の場合は、どこかで一度途切れても、残り試合が多ければ再び記録に挑むことができる。しかし、「開幕からの記録」は、一度途切れてしまえば、次シーズンまでチャンスがない。実にシビアな記録なのだ。そんな中で、先発勝利や安打を続けるのは並大抵なプレッシャーではないだろう。昨季の菅野のようにプレッシャーに打ち勝ち、開幕からの連続記録を更新する選手が今季も出るか、開幕を楽しみに待ちたい。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM