首位を快走していた
阪神が8月27~29日の
広島戦(マツダ広島)で同一カード3連敗を喫し、首位から陥落した。31日の
中日戦(甲子園)も敗れて今季初の4連敗。下降線をたどっている中で、カギを握るのが「四番打者」だろう。
大山悠輔の打撃不振で固定できない状況が続いている。大山、ロハス、
サンズ、マルテ、
佐藤輝明…打線の中心に据えるのはどの打者になるだろうか。
成績は9月1日現在 本来の姿を取り戻せるか
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阪神・大山悠輔
●大山悠輔
※今季成績90試合出場、打率.238、14本塁打、50打点
※通算成績541試合出場、打率.262、74本塁打、297打点
昨年は打率.288、28本塁打、85打点といずれも自己最高の成績をマーク。今季も不動の四番として期待されたが、打撃の状態がなかなか上向かない。矢野監督は我慢強く起用していたが、6月29日の
ヤクルト戦(甲子園)で六番に降格。その後再び四番に戻ったが不調が続き、8月28日の広島戦(マツダ広島)でスタメン落ちした。直球に強く、早いカウントから打つのが大山の持ち味だが、今季はタイミングを崩された形の凡打が多く、チャンスでもブレーキになるケースが目立つ。2試合ぶりに「六番・三塁」でスタメン出場した9月1日の中日戦(甲子園)では同点の6回に決勝打。シーズンも佳境に入り、本来の姿を取り戻せるか。
8月下旬から四番に座る助っ人
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阪神・サンズ
●ジェリー・サンズ
※今季成績100試合出場、打率.263、20本塁打、61打点
※通算成績210試合出場、打率.260、39本塁打、125打点
勝負強い打撃に定評があり、今季は得点圏打率.324。パワフルな打撃が持ち味だが、強引に引っ張らずに逆方向に打つ柔軟性もある。今季は五番を託されていたが、6月以降はチーム事情に合わせて六番、三番、四番で起用されている。後半戦は大山の打撃不振を受けて8月28日の広島戦(マツダ広島)から4試合連続四番で出場。サンズが本塁打を打った後にベンチ前で手をぶらぶらしながら駆け抜ける「ハッピーサンズ」で一気に盛り上がる。打線の核になる強打者だ。
両打席からスケールの大きい打撃
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阪神・ロハス
●
メル・ロハス・ジュニア ※今季成績33試合出場、打率.194、5本塁打、12打点
※通算成績33試合出場、打率.194、5本塁打、12打点
昨季韓国リーグで打率.349、192安打、47本塁打、135打点で本塁打王、打点王の打撃2冠、シーズンMVPを獲得。打線の中心として期待されたが、前半戦は打率.098、1本塁打、3打点と振るわず。日本の投手への対応に苦しみ、2度のファーム降格を味わった。だが、8月は月間打率.281、4本塁打、9打点と調子を上げている。今月21日の中日戦(バンテリン)で来日初の猛打賞をマーク。翌22日の同戦では逆方向の右中間スタンドに運ぶ先制3号ソロを放った。両打席からスケールの大きい打撃は大きな魅力だ。
選球眼抜群のスラッガー
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阪神・マルテ
●
ジェフリー・マルテ ※今季成績86試合出場、打率.289、16本塁打、50打点
※通算成績220試合出場、打率.281、32本塁打、113打点
相手投手が阪神打線の中で最も「打ち取りにくい打者」がマルテではないだろうか。外国人打者は振り回すタイプが多いが、マルテは選球眼が良く際どいボール球もきっちり見送る。出塁率.401という数字が貢献度の高さを物語っている。得点圏打率.351とハイアベレージでポイントゲッターとしても能力が高い。本来は三番に座るのが適任だが、7月に四番で7試合連続スタメン起用されている。好不調の波が少ないのも強みだ。マルテをどう生かすかが今後のポイントになるだろう。
不振に苦しむ黄金ルーキー
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阪神・佐藤輝明
●佐藤輝明
※今季成績101試合出場、打率.260、23本塁打、60打点
※通算成績101試合出場、打率.260、23本塁打、60打点
前半戦は日本人離れしたパワーで衝撃のホームランを連発。阪神だけでなく球界を盛り上げた主役の一人だった。ただ、プロ1年目で長いシーズンが未体験だ。心身で疲労は当然たまってくる。8月22日の中日戦(バンテリン)から6試合連続無安打と快音が聞かれなくなり、スタメン落ちした8月29日の広島戦(マツダ広島)、31日、9月1日の中日戦(甲子園)ではすべて代打で出場して空振り三振。自己ワーストを更新する27打席連続無安打となったが、潜在能力の高さは誰もが認めている。打順別では四番が打率.286と最もアベレージが高い。大胆なテコ入れ策として、四番で復調にかける一手も検討の余地はあるかもしれない。
写真=BBM