今シーズンのセ・リーグ本塁打王争いは、長らく
巨人の
岡本和真と
ヤクルトの
村上宗隆によるデッドヒートが繰り広げられてきた。しかし、最終盤に来て広島の鈴木誠也が本塁打を量産。両者に1本差に迫っており、残り試合は少ないものの逆転も見えてきた。鈴木は打率ランキングでもトップを走っており、首位打者と最多本塁打の二冠に輝く可能性もある。では、過去に「首位打者と最多本塁打の二冠」に輝いた選手は何人いるのだろうか?
首位打者と最多本塁打の二冠は過去7人
今回は、1リーグ時代を含め、首位打者と最多本塁打の二冠に輝いた選手を調べてみた。結果は以下のとおり。
松木謙治郎(大阪/1937年春)
大下弘(東急/1947年、1951年)
青田昇(巨人/1948年)
中西太(西鉄/1955年、1958年)
長嶋茂雄(巨人/1961年)
王貞治(巨人/1968年、1969年、1970年)
ハウエル(ヤクルト/1992年)

直近では92年のヤクルト・ハウエルが首位打者&本塁打王に輝いた
「首位打者と最多本塁打の二冠」を獲得した選手は、1リーグ時代を含めると7人。王以外の三冠王である
中島治康、
野村克也、
落合博満、
ブーマー、バース、
松中信彦を含めたとしても13人と非常に少ない。本塁打を量産するようなパワー型の選手は本塁打と打点で二冠に輝くことは多い。しかし、そうした選手は一般的に打率が低くなる傾向にあるため、本塁打と首位打者を同時に獲得することは難しい。打率、本塁打、打点の三冠王が滅多に出ないのもそうした理由からだ。
惜しくも変則二冠とはならなかった選手は?
過去7人と非常に少ない首位打者と最多本塁打の二冠王だが、惜しくもこの「変則二冠」を逃した選手もいる。例えば1949年の
藤村富美男。46本塁打で最多本塁打のタイトルに輝き、打率でも.332と高い数字を残すが、大映の
小鶴誠が.361と驚異的な打率を記録したため首位打者を逃した。このように、本塁打王にはなったが、打率でトップに及ばず二冠を逃すケースは多い。1980年の
山本浩二や1982年の
掛布雅之なども同様の例だ。

95年のイチローはあらゆる打撃タイトルを獲得したが、本塁打王のみ逃した
反対に「本塁打の数で及ばなかった」という例もある。例えば、1995年のパ・リーグはイチローが首位打者に輝いたが、本塁打数はトップと3本差の25本で、本塁打王にはなれなかった。この年のイチローは「首位打者・打点王・盗塁王・最多安打・最高出塁率」の5タイトルを受賞。これも前代未聞ではあるが、もし本塁打もトップであれば打撃タイトル全部門受賞だった。
直近では
ソフトバンクの
柳田悠岐が、2018年に首位打者に輝いているが、本塁打は惜しくもリーグ2位。パ・リーグでは中西以来、NPB全体ではハウエル以来となる、首位打者と本塁打王の二冠を逃している(とはいえトップとは11本も差があったが……)。
実は非常に珍しい首位打者と最多本塁打の二冠。残り試合は少ないが、広島の鈴木は久しぶりの変則二冠に輝く可能性を残している。果たして逆転で本塁打王になり、首位打者との二冠となるか、最後まで目が離せない。
文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM