5連敗で借金3の苦境

今季から副主将としてチームを引っ張る存在となった吉川
巨人が波に乗れない。3月31日の開幕・
中日戦(東京ドーム)で逆転負けを喫したが、その後に3連勝。そのまま勢いに乗るかに見られたが、
DeNAに2試合連続零封負けでカード負け越しすると、
広島3連戦(マツダ広島)も全試合で相手を上回る安打数を放ちながら、拙攻が響いて同一カード3連敗。5連敗で借金3となった。
現在の巨人で絶対的レギュラーと言えるのは、四番の
岡本和真、五番の
中田翔の2人だけだろう。攻守の要として長年活躍してきた
坂本勇人はオープン戦で打率.111、0本塁打と試行錯誤を繰り返し、開幕後も4試合連続無安打に終わると、5日のDeNA戦(横浜)で今季初のスタメン落ち。7日の広島戦(マツダ広島)もスタメンから外れ、
中山礼都が「一番・遊撃」で出場してマルチ安打とアピールした。ドラフト4位の
門脇誠を含め、熾烈な遊撃のレギュラー争いが今年は繰り広げられるだろう。
坂本だけではない。主力選手も状態が上がってこなければ、スタメンを確約されているわけではない。9日の広島戦(マツダ広島)ではこの試合まで打率.100の
丸佳浩、打率.200の
吉川尚輝がスタメンから外れた。今年から副主将に指名された吉川に掛かる期待は大きい。昨年は132試合出場で打率.277、143安打、16盗塁といずれも自己最高の成績をマーク。二塁の守備でも広い守備範囲で幾度もチームのピンチを救ってきた。
今季は「二番・二塁」で開幕スタメンを飾ったが、広島3連戦では1戦目が八番、2戦目が七番で起用され、3戦目は途中出場に。他球団のスコアラーは、「吉川がスタメン落ちは、坂本より衝撃が大きかった。坂本、丸と違って打撃の状態が決して悪いとは感じなかった。四球をきっちり選んでいたので調子は上がってくるなと。吉川の貢献度は打撃だけではありません。二塁での守備能力の高さはずば抜けている。投手とすれば、こういう選手が後ろで守っていると本当に助かる」と語る。
「目標はリーグ優勝と日本一」
吉川は週刊ベースボールのインタビューで、「守備範囲については、やっぱりこだわっています。ほかの選手が捕れないようなボール、僕にしか追いつくことができないボールがあると思うし、そのボールを捕ることが僕の価値だと思っているので。そのために逆算でポジショニングをいろいろ考えることもあります。定位置であっても足で追いつけるだろう、とか。とにかく、ピッチャーに『助かった』と思ってもらえるようなプレー、ピッチャーを助けることができるプレーを一つでも多くできればなと思います」と二塁守備への思いを語っている。
そして、「目標はリーグ優勝と日本一。それしかないですね。この2年間、リーグ優勝することができていないですし、日本一になったのは12年が最後ですから。和真が新キャプテンになって、チームとしての体制も新しくなるわけですから、和真を中心にして、先輩たちにも助けてもらいながら、まずは何としてもリーグ優勝を勝ち取りたい。そして、その先の日本一を目指していきたいと思います」、「やっぱり3割という数字は意識していきたいですし、ゴールデン・グラブ賞も、結果的に獲ることができたらいいなと思います。最初からそこを目指すというのではなく、1年間、目の前の試合に集中していって、その結果として最後に3割を打つことができた、ゴールデン・グラブ賞を獲ることができた、というのがベストですね」と今年の誓いを宣言していた。
岡本と同様に吉川がチームの中心にならなければ、上昇気流に乗れない。ペナントレースはまだ始まったばかり。巻き返しに期待したい。
写真=BBM