日の出グラウンドで鍛え上げた技術

亜大・天井[右]は6月18日の紅白戦で2つの盗塁を記録した[左は仙台大・辻本、中央は明大・宗山]
「亜大野球」とは基本に忠実に、相手のスキを突くのが伝統だ。その徹底力と精度の高さは、大学球界トップレベルである。
天井一輝(4年・
広島商高)は侍ジャパン大学代表選考合宿(バッティングパレス相石スタジアムひらつか)で、4年間、日の出グラウンドで鍛え上げた技術を発揮した。
6月18日の紅白戦(8イニング、6イニングの特別ルール)。外野手で出場した天井は4打数3安打(二塁内野安打、中前打、中前打)の大暴れ。2つの二塁盗塁も決めた。
「相手は好投手。当たって、砕けろ!! の精神で、バットを振っていきました。打撃は得意ではないので、守ること、走ることをきっちりやっていきました」
前日の50メートル走では6秒21で、29人中9位タイの好タイムをマーク。右投げ左打ちの好選手は、持ち味を披露している。

亜大・草加はテンポの良い投球を披露した
亜大からはもう一人、152キロ右腕の
草加勝(4年・創志学園高)が初めて招集された。18日の紅白戦では2回1失点。140キロ中盤のストレートには、キレがあった。
今合宿前に激震が走った。亜大は6月14日、生田勉監督の退任を発表した。大学ホームページによれば、新体制は後日、発表されるという。春のシーズン限りでの退任とは、超異例である。あまりに突然の発表であり、現場の動揺が懸念されるが、天井は言う。
「指導者が決まっていない中ですが、学生コーチ、4年生を中心に自主練習をしています。学生同士で、今、できることをやって、秋に向けて万全の準備をしたいと思います」
学生としては、目の前のことに集中するしかない。まずは、今合宿ですべてを出し切ることが、チームの力となる。19日に26人の選手発表があり、天井と草野が初代表入りを遂げた。亜大の永遠のモットーは「全力疾走」。一生懸命な取り組みは、決してウソをつかないのである。
文=岡本朋祐 写真=矢野寿明