1年目に新人王獲得
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今季は二軍でプレーし続けている高山
このまま終わってほしくない――。そう願っている
阪神ファンは多いだろう。プロ8年目を迎えた
高山俊は今季一軍出場なし。日差しが強い炎天下のファームで日々を送っている。
阪神を取材するスポーツ紙記者は、こう語る。
「高山の名前が
コールされると拍手の量が多いし、安打や長打を打つと歓声の大きさが違う。伸び悩んでいますが、阪神ファンの人気は根強いです。センターの
近本光司が右肋骨骨折で一時戦列を離れ、新外国人の
シェルドン・ノイジーも満足のいく数字を残せていない。
森下翔太、
前川右京、
島田海吏らが外野の定位置獲りに向けてアピールしていますが、高山もこの競争に加わってほしい。誰もが認める打撃センスがこのまま錆び付いてしまうのは惜しいですよ」
明大で打ち立てた東京六大学最多通算131安打は未だ破られていない記録だ。ドラフト1位で阪神に入団すると、2016年から就任した
金本知憲元監督が開幕戦に「一番・中堅」で抜擢。今月18日に28歳の若さで逝去した
横田慎太郎さんが二番を打つ新打線は大きな可能性を秘め、阪神ファンの胸が高鳴った。高山は期待に応えて136安打と当時の球団新人記録を更新。打率.275、8本塁打、65打点で新人王を獲得した。
指揮官に才能を高く評価され
当時野球評論家だった
岡田彰布監督は、高山の才能を高く評価していた。週刊ベースボールのコラムでこう綴っている。
「今年、新人王のライバルとなったのは
DeNAの
今永昇太で、結構接戦になるかな……と思っていたが、いざフタを開ければ高山が大差(220票と32票)をつけて選ばれた。まあ、それにふさわしい成績やったと思うよな。開幕から先発で起用され、コンスタントに出場を続けて、数字的にも新人王にふさわしいものを残した。何より彼の長所は、バットコントロールのうまさやね。どのコース、どの球種にも対応できる技術を持っている。それが優れているゆえに、ボール球に手を出すというマイナス面もついてくるのだが、とにかくあのバットコントロールは非凡よ」
「ドラフト1位、それも阪神の1位で期待値は高く、相当なプレッシャーもあったはず。それに打ち勝つ技術を持ち、相手の研究に負けずに残した今年の成績。オレは立派やと思うよ。重圧に勝つというのは、なかなか難しいもの。それに打ち勝ったわけやから、胸を張ってもいい。2年目になる来季。よく2年目のジンクスなんて言われるけど、高山にはそれは当てはまらないと考える。なぜなら技術に裏打ちされているからよ。逆に1年目より2年目がより伸びる……という期待感が彼にはある。金本知憲監督も相当に期待しているようだし、チームの中で、カギを握る選手になるだろう」
背水の陣を迎えている8年目
誰もが認める天才打者だったが、2年目以降は輝きが消えてしまう。17年は攻守で精彩を欠き、103試合出場で打率.250、6本塁打、24打点と新人時より成績を落とす。その後も打撃フォームを変えるなど試行錯誤を繰り返した。21年は一軍出場なし。昨年も38試合出場で打率.189、0本塁打、0打点に終わった。
背水の陣で迎えた今季は岡田監督が就任。春季キャンプは一軍スタートと復活に期待を寄せられたが実戦で結果を残せず、開幕二軍スタートに。春先は打率1割台と状態が上がってこなかったが7月に入ると好調をキープし、打率.265、5本塁打をマークしている。
高山とドラフト1位で同期入団のDeNA・今永は球界を代表する左腕として活躍し、
吉田正尚もレッドソックスでレギュラーとして移籍1年目から3割を超える高打率をマークしている。プロ入り後に大きく水を開けられたが、戦いは終わっていない。高山の復活を阪神ファンは待っている。
写真=BBM