ウイニングショットが絶大な効果
DeNAの助っ人外国人で活躍が話題になっているのが、
トレバー・バウアーだ。
メジャー・リーグでサイ・ヤング賞を獲得した右腕は150キロを超える直球、精度の高い変化球、高度な投球術に加えて中4日で登板するなど心身ともにタフだ。2試合連続の中4日で登板した8月25日の
中日戦(バンテリン)では8回2失点の好投で、球団の外国人投手で史上2人目の2ケタ勝利に到達した。
勝利への闘争心を前面に押し出すバウアーの存在はチームにも良い影響をもたらしている。誰もが認める優良助っ人だが、同じく来日1年目で加入し、セットアッパーとして活躍しているJ.B.ウェンデルケンも貢献度が非常に高い。
メジャー通算144試合登板の実績をひっさげ、年俸1億2000万円の1年契約で入団。勝負を左右する場面で登板し、きっちりアウトを重ねていく。印象的なマウンドが6月25日の
阪神戦(横浜)だ。2点リードの7回一死一、二塁のピンチに、バウアーのあとに登板すると、
大山悠輔を遊直、
糸原健斗に四球を与えるも
森下翔太を見逃し三振で無失点に切り抜けた。
現在46試合登板で1勝2敗25ホールド、防御率1.60。救援陣は
山崎康晃が防御率4.10、
エドウィン・エスコバーが防御率5.84、
伊勢大夢が防御率3.40とピリッとしない中、ウェンデルケンの安定感が際立っている。失点した登板は7試合のみ。常時150キロを超える直球に加え、左打者の外に逃げるシンカーのような軌道のチェンジアップがウイニングショットとして絶大な効果を発揮している。
スクランブル登板にも対応
ウェンデルケンは週刊ベースボールのインタビューで、「チェンジアップはMLB時代から長い時間ずっと使ってきて、自分の中でも信頼の置ける球種です。右バッターでも、左バッターでも、真っすぐとの球速差を出すために投げている球種なんですけど、これだけ長く時間をかけて投げてきた球種なので、自信を持って、右バッターにも投げ込めています。あまりほかの投手にはない変化かもしれませんが、自分でもなかなか制御が効かないです」と語っている。
ブルペンで肩が温まるのが早く、スクランブル登板に対応できることも大きな強みだ。この点についても、以下のように明かしている。
「アメリカで得てきた経験から、いかに自分の肩が早くできるかは重要なことだと認識していました。だから日本へ来てからすぐに、監督、コーチにも『6~10球あれば準備できるよ』ということを伝えていました」
「私は今までマイナー・リーグを含めて、たくさんの監督の下で野球をしてきました。それぞれのチームで監督のスタイルというものは違っていましたが、肩が早くできればできるほど、監督の中でゲームプランを立てやすくなるのだと気付きました。その分だけ登板機会も増えることになりますし、そういった意味でも、自分の肩が早くできるという長所をアピールするようになりました」
去就が注目される投手が多いDeNA
DeNAは今オフにバウアー、国内FA権の取得条件を満たした
今永昇太、
石田健大ら主力投手たちの去就が注目されるが、ウェンデルケンも他球団の評価が高いという。
スポーツ紙記者は、「三振奪取能力が高く、NPBで十分に通用することを証明している。勝利の方程式で計算できる投手を欲しい球団は多い。今オフは他球団と争奪戦になる可能性があります」と分析する。
DeNAファンにとってはバウアーと同じぐらい頼もしい存在だろう。チームは
巨人と熾烈なCS争いを繰り広げている。1つも落とせない厳しい戦いが続く中、鉄腕はマウンドに立ち続ける。
写真=BBM