日本野球界のレジェンド

明大ナインは喪章を着けてプレー。エース・村田は6回無失点で勝利投手となり、試合後は杉下氏の思いを語った[写真=矢野寿明]
東京六大学秋季リーグ戦は9月9日、明治神宮野球場で開幕した。明大対東大の開幕試合を前に、明大OBの故・
杉下茂氏(元
中日ほか)の追悼セレモニーが行われた。杉下氏は「フォークボールの神様」と呼ばれた名投手で、NPB通算215勝を挙げ、1985年に競技者表彰で野球殿堂入り。晩年まで春季キャンプなどで精力的に指導していたが、今年6月12日に亡くなった。97歳だった。
セレモニーには杉下氏の長男・茂治氏、駿台倶楽部(明治大学野球部OB会)の顧問・
土井淳氏(元大洋)、同会長・吉川芳登氏、同副会長・
高田繁氏(元
巨人ほか)らが出席。神宮のバックスクリーンには学生時代の写真が映し出され、球場全体で黙とうをささげた。明大の選手は左袖に喪章を着けて東大1回戦を行った。

東京六大学リーグの開幕試合前、明大OBの故・杉下茂氏の追悼セレモニーが行われ、長男・茂治氏のほか、駿台倶楽部の関係者が出席し黙とうをささげた[写真=矢野寿明]
試合は明大が3対0で勝利。明大・田中武宏監督は「前回の追悼セレモニー(2018年春の東大1回戦)は星野(
星野仙一)さんでしたが、そういう日に勝てて良かったです」と安どの表情を見せた。6回無失点でリーグ戦通算13勝目を挙げたエース右腕・
村田賢一(4年・春日部共栄高)は副将として、学生の代表としてコメントした。
「杉下さんにお会いしたことはありませんが、小さいころから野球殿堂博物館にも足を運んでおり、お名前は存じ上げています。追悼セレモニーの日に勝てたのは、うれしいです」
日本野球界のレジェンド。学生にとっても歴史と伝統に触れ合う貴重な場となった。明大は85年ぶりの4連覇へ幸先の良いスタート。天国で見守る大先輩に、良い報告ができた。
文=岡本朋祐