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村上宗隆、山田哲人ではない…他球団が警戒「ヤクルトのキーマン」は

 

「乗せると厄介な選手」


昨年は下半身のコンディション不良もあり、51試合の出場に終わった塩見


 この男が攻守でチームを引っ張らなければ、ヤクルトのV奪回は望めない。プロ7年目を迎えた塩見泰隆だ。

 今年はオープン戦終盤まで打撃の状態が上がらず、打率が1割を切っていたが、3月22日の西武戦(ベルーナ)でマルチ安打と復調の兆しを見せ、オープン戦最終戦となった24日の西武戦もマルチ安打とバットが振れてきた。

 他球団のスコアラーは、「ヤクルトのキーマンは村上宗隆山田哲人ではなく、塩見だと思います。一番で稼働すれば打線全体が勢いに乗って手がつけられなくなる。乗せると厄介な選手なので、塁に出さないように徹底したいですね」と警戒を強める。

 2021、22年とリーグ連覇の原動力になった核弾頭だ。入団した当時から身体能力の高さは高く評価され、ファームで快音を響かせていたが、一軍では好不調の波が激しく定着できなかった。そんな塩見を我慢強く起用し続けたのが、高津臣吾監督だった。20年は43試合出場にとどまったが、21年は140試合出場で打率.278、14本塁打、59打点、21盗塁とブレーク。5月中旬以降は「一番・中堅」で奮闘し、リーグ優勝、21年ぶりの日本一に大きく貢献した。翌22年は新型コロナウイルスに感染した影響で後半戦はコンディションに苦しんだが、130試合出場で打率.276、16本塁打、54打点、24盗塁を記録。29年ぶりとなるリーグ連覇の原動力となった。

向上心旺盛な性格


 塩見は週刊ベースボールのインタビューで、「チームの雰囲気が悪くならないようにということは心掛けていました。年齢も29歳で上のほうになってきて、年上の選手が調子が悪いときに雰囲気を出してしまうと、年下の選手はやりづらくなってしまうので。僕自身できたかどうかは分かりませんが、そういった雰囲気はなるべく出さないようには心掛けていました。本当にチームは家族なので、そこは意識していましたね」と中心選手としての自覚を口にしていた。

 向上心旺盛な性格で、現状に満足しない。

「昨年(21年)から(三振)数が(156から122に)減ったことは自信になっています。ただ、4月までは三振したくないというのがあって、初球から当てにいく打席が多かったんです。三振に捉われていたと言いますか。そこで、『これは違うな、自分じゃないな』と思って。シーズン途中からは、自分の持ち味を出しながら追い込まれたときにいかに三振をしないかだと思ってプレーしていました。数は減りましたがそれでも122個。古田さん(古田敦也、元ヤクルト)と『三振数を3ケタには乗せない』という約束をしていたんですけど、達成できなかったので、これは来年の課題です」と口にしていた。

 さらに「『3年やって一人前』というのは入団したときから聞いていた言葉です。2年間戦ってみて、僕の中ではまだまだできると思っています。この2年はシーズンの後半になるにつれ、疲労やコンディション不足が原因で成績が落ちてしまったと分析しています。これまでシーズン中はストレッチをメインに大きなケガをしないように過ごしていましたが、来年は、体の状態の維持、そして体を強化するトレーニング系を少し取り入れて、1年間を通してばてない体を作りたいなと思っています」と誓っていた。

今年は春先からエンジン全開


 ところが、昨年は悔しいシーズンとなった。2月の春季キャンプに下半身のコンディション不良でファームに。5月上旬に一軍昇格したが、同月26日に下半身のコンディション不良で再び登録抹消に。リードオフマンを欠いたチームは負のスパイラルから抜け出せず、1つの引き分けを挟んで12連敗。塩見はその後も試合にスタメンで出続けられず、51試合出場にとどまり、打率.301、8本塁打、31打点、1盗塁。リーグ3連覇を狙ったチームにとって、塩見不在の期間が長かったのは大きな誤算だった。借金26の5位に沈んだ。

 今年は同じ外野手で楽天を退団した西川遥輝が加入。日本ハム在籍時に4度の盗塁王を獲得したスピードスターから得られるモノは多く、良い刺激になるだろう。ムードメーカーでもある塩見がダイヤモンドを疾走すれば、チーム全体が活気づく。昨年の悔しさを晴らすためにも、今年は春先からエンジン全開で突っ走る。

写真=BBM
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