開幕から2戦連続本塁打
開幕からチームを勢いに乗せる活躍を見せている度会
ドラフト1位の黄金ルーキーが
DeNAを変えるかもしれない。開幕カードの大活躍で球界の話題を独占したのが、
度会隆輝だ。
3球団が1位指名で競合した逸材はオープン戦で53打数23安打、打率.434をマークし、史上2人目の「新人首位打者」を獲得した。ただ、この数字を「額面どおりには受け取れない」という評価があった。オープン戦は相手バッテリーが新戦力の特徴、データを収集する場でもある。どのコース、球種が得意かを確認するために餌巻きする配球も見られる。公式戦に入れば攻め方がガラリと変わるが、度会は並の新人ではなかった。
「一番・右翼」でデビューした3月29日の開幕・
広島戦。3点を先制された3回一死一、二塁から
九里亜蓮のスライダーを豪快に振り抜くと、打球は横浜スタジアムの右翼スタンドへ消えた。新人の開幕戦アーチは球団史上64年ぶりの快挙だった。同点3ランで試合の流れを大きく変えると派手なガッツポーズで喜びを爆発。逆転勝利に大きく貢献した。
翌30日は初回の打席で、左腕・
黒原拓未から頭部付近に死球を受けて倒れ込んだが、治療を受けると全力疾走でグラウンドに戻り、すぐにプロ初盗塁を決めた。「度会劇場」が幕を開けると、2回に左前打、4回に2試合連続の右越え2ラン、6回に右翼線二塁打と勢いが止まらない。8回の打席では三塁打を放てばサイクルヒット達成の期待がかかる中で、中前打。大記録達成はならなかったが、4打数4安打2打点1盗塁の大活躍だった。4月2日の
阪神戦(京セラドーム)も初回に四球で出塁し、大量4得点の呼び水に。2回に二塁内野安打、4回に四球と3度出塁し、勝利に貢献した。
大事なピースを埋めた度会
DeNAは戦前の下馬評が決して高くなかった。左腕エースの
今永昇太がポスティングシステムでカブスに移籍。昨年に途中入団で2ケタ勝利をマークした
トレバー・バウアーもメジャーでのプレーを希望していることから、現時点で契約がまとまっていない。両投手の穴を埋めるのは決して容易ではない。投手陣の踏ん張りが求められると共に、白星を積み重ねるためには打線も得点力を上げる必要がある。昨年の520得点はリーグ4位。一番の懸念材料は固定できなかった一番打者だった。首位打者の獲得経験がある
佐野恵太が一番でチーム最多の66試合に出場したが、打撃の状態がなかなか上向かず。
関根大気、
桑原将志、
大田泰示、
梶原昂希らが起用されたが、リードオフマンとして物足りなさが残った。
この大事なピースを埋めるべく、ドラフト1位で獲得したのが度会だった。コンタクト能力が高く、長打力を兼ね備えている。俊足に加え、外野の守備も強肩で送球が安定している。明るいキャラクターで物おじしない性格も大きな魅力だ。度会を一番に固定することで、佐野を中軸に回すことが可能となり、
オースティン、
牧秀悟、
宮崎敏郎と強打者が並ぶ打線は破壊力抜群だ。
他球団のスコアラーは「度会が打線の火付け役になっている。二番にオースティンが控えているし、バッテリーは初回から息が抜けない。今永、バウアーは不在ですが先発の駒がそろっていますし、強いですよ」と警戒を強める。
「頼もしい選手になりたい」
度会はキャンプ中の週刊ベースボールのインタビューで、こう語っている。
「明確な数値というよりもチームの勝利、チームの優勝に貢献できるような、チームの主軸になりたい。チームを勝たせられるような選手になりたいなということが一番です」
「僕から言うのはおこがましいかもしれませんが、まずは明るく元気にチームの雰囲気を盛り上げられたらいいなと。プレー面では一番のセールスポイントであるバッティングで貢献できるようにしたいですね」
「皆さんに期待をしてもらっている以上、『度会が打席に入ると必ず打ってくれるね』とか、『期待を裏切らないね』と言ってもらえるような頼もしい選手になりたいです!」
野球少年のように楽しそうにダイヤモンドを疾走する姿がファンの目を惹きつける。チームカラーともマッチし、天真爛漫な性格でチームを引っ張る姿は太陽のようだ。初めて経験するプロ野球のシーズンは苦しい時期が必ず訪れるが、前を向き続けてプレーできるか。DeNAの救世主として、大きな期待が掛かる。
写真=BBM