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【大学野球】慶大戦に連勝しV争いに踏みとどまった明大 主将・宗山を欠く戦いで心身ともにたくましく

 

ゲームごとに成長


明大は慶大から勝ち点。五番手・松本[左]が好救援し、遊撃の光弘[右]が攻守で活躍した[写真=田中慎一郎]


【5月19日】東京六大学(神宮)
明大4-3慶大(明大2勝)

 明大が息を吹き返した。慶大2回戦で連勝し、V争いに踏みとどまった。開幕の東大戦で連勝も、次カードの早大戦を1勝2敗で勝ち点を落とした。第5週の立大1回戦は0対4と見せ場なく落とし、事実上、あとがない状況となった。ところが、土俵際から「粘りのメイジ」の真骨頂発揮である。立大2、3回戦を連勝して、2つ目の勝ち点を挙げた。同3回戦から中3日で臨んだ第6週の慶大戦を連勝し、勝ち点3。体力勝負となる終盤に差し掛かり、チームの士気は上がってきている。

「崖っ縁から4連勝。来週(第7週)の法政戦につなげないと意味がない。選手たちの頑張りを期待している。神宮は成長させてくれる場所。ゲームごとに(成長を)感じる」(明大・田中武宏監督)

 第6週を終え、明大のみ、規定投球回に到達した投手が不在だ。計10投手を起用。開幕からその日の調子や、ブルペンと密に連携を取って1試合を組み立ててきた。7勝のうち6人が勝利投手となっているのも、象徴的である。10試合で5人が先発を経験。投手層の厚さもあるが、田中監督が試行錯誤してきたシーズン中、個々が自信を植え付けてきた。

明大・松本は9回裏一死一、三塁から救援し、後続2人を抑えて試合を締め、ガッツポーズを見せた[写真=田中慎一郎]


 慶大2回戦は5投手を小刻みにつないだ。2点リードの9回裏は無死満塁から犠飛で1点差とされ、なおも、一死一、三塁のピンチ。ここで五番手に右腕・松本直(2年・鎌倉学園高)が救援。後続2人をきっちり抑えた。立大2回戦では先発で5回無失点とリーグ戦初勝利。慶大1回戦では9回の1イニングを締め、2回戦も火消し役を見事にこなした。

「あとアウト2つを取ることに集中しました。やるべき役割を全うすることだけを考えていました。勝てて良かった。その一言です」

 裏話を披露した。強心臓の持ち主である。

「ブルペンは過去イチのひどさ(苦笑)。すべてです。ただ、ブルペンは引きずらない。肩をつくるイメージなので。マウンドではやれる、と冷静に臨めました。ノンプレッシャーより、良いパフォーマンスが出せた。(ピンチの)自覚がありながら、投げていました。楽しむというか、ゾーンに入っていました」

残すカードは法大戦


明大・光弘は同点の7回表一死二、三塁からの一ゴロが決勝点。6回表の中前打では相手の失策が絡み、好走塁[写真]を見せている[写真=田中慎一郎]


 野手では光弘帆高(2年・履正社高)が存在感を示している。開幕2カード目の早大2回戦から三塁で先発すると、立大1回戦からは上半身のコンディション不良により欠場した主将・宗山塁(4年・広陵高)の代役として、遊撃手。8試合で打率.292、4打点。守備はノーエラーで投手を支えている。慶大2回戦では2対2の7回表一死二、三塁からの一ゴロの間の1点が決勝点(1打点)。遊撃守備も軽快にこなし、勝ち点奪取に貢献した。

「宗山さんには、力で及ばないので、気持ちを出して、チームに貢献できるように、毎日、必死になって頑張っている。宗山さんからは試合前、試合中はイニング間に、ポジショニングなどのアドバイスをいただきます。経験を伝えてもらい、ありがたいです」

 謙虚に語るが、光弘は高校3年時に侍ジャパンU-18代表に名を連ねた実力者である。田中監督は「肩が強く、守備範囲も広い。普通の大学生よりも上のレベルにある」と全幅の信頼の下に起用している。

「3月のオープン戦も(右肩甲骨骨折で離脱していた)宗山抜きでやっていて、急にこの状況になったわけではない。開幕前から準備させていたことが生きている」(田中監督)

 明大は伝統のチーム力で、勝ち点を3に伸ばし、残すカードは次週(第7週)の法大戦である。第6週終了時点での成績だ。

1位 早大 8勝2敗   勝ち点4
2位 明大 7勝3敗   勝ち点3
3位 慶大 6勝4敗1分 勝ち点3

 明大は第7週の法大戦で勝ち点を4に伸ばすことが、優勝の条件である(早慶戦の結果待ち)。大黒柱の主将・宗山を欠く戦いの中で、明大は心身ともにたくましくなっている。

文=岡本朋祐
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