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万波中正を超える逸材?「現役ドラフトで移籍の長距離砲」にブレークの予感が

 

インパクトの強い一打


力強いバッティングを見せている水谷


 日本ハム新庄剛志監督が6月2日、自身のインスタグラムを更新した内容が話題を呼んだ。同日のDeNA戦(エスコンF)でプロ初アーチを放った水谷瞬に言及し、「初ホームランおめでとう この子もスターにさせる1人です この子を何年後かにメジャーに行かせる指導をして行きます 皆さん 応援宜しくです」と綴った。

 記念のプロ初アーチはインパクトの強い一打となった。「一番・左翼」でスタメン出場し、3回の打席で放った打球は左中間へ。二塁打だったが、スロー再生を見ると中堅左フェンス最上部のラインを越え、その奥の柵に当たってグラウンドにはね返ったように見える。「幻の初アーチ」となったが、すぐに打ち直しの一発でダイヤモンドを一周した。4点リードの4回一死二塁で大貫晋一のカーブを豪快に振り抜き、左中間スタンドに着弾。ナインとハイタッチを交わすと、ソフトバンク時代にお世話になった松田宣浩に敬意を表し、「熱男〜!!」と右拳を突き上げて叫んだ。

 父はナイジェリア人、母は日本人のハーフでミドルネームは「ジェッシー」。石見智翠館高からドラフト5位でソフトバンクに入団。外野の選手層が厚くプロ入り5年間で一軍出場はなかったが、ファームではリチャードと並び、長距離砲として一目置かれる存在だった。身長193センチ、体重99キロの恵まれた体格で足も速い。抜群の身体能力は大きなロマンを抱かせた。他球団のスコアラーは「ツボにはまった時の打球は軽くスタンドを越える。ホームランアーチストとしての素材は万波中正に引けを取らない。確実性を高めれば面白い選手です」と評していた。

現役ドラフトで日本ハムへ


 昨年の現役ドラフトで日本ハムに移籍したことが野球人生の大きな転機になる。ソフトバンクの外野陣は柳田悠岐近藤健介周東佑京柳町達に加えて巨人からトレードでアダム・ウォーカーが加入。今季は川村友斗が台頭しているため、そのまま残ってもチャンスをつかむのは難しかっただろう。

 プロ6年目を新天地で迎えると、4月9日に一軍昇格。11日のソフトバンク戦(北九州)で、左腕の大関友久から3回に左前適時打を放ちプロ初安打初打点をマークした。このときは2週間足らずでファームに降格したが、5月11日に再昇格すると強烈な輝きを放つ。「一番・左翼」でスタメンに抜擢された29日の阪神戦(甲子園)でプロ初の猛打賞を記録。ソフトバンク時代にチームメートだった大竹耕太郎から3、5回に左前打を放つと、7回一死二、三塁の好機では島本浩也から中前にはじき返す2点適時打。高校時代にかなわなかった甲子園で大暴れし、「素直にうれしいです。一番に使っていただいたので、チャンスメークできたらと思ったがチャンスで回してもらいました」と、お立ち台でナインへの感謝を忘れなかった。

万波とは同学年


 快音は止まらない。「二番・左翼」でスタメン出場した翌30日の同戦ではプロ初の4安打。2戦で9打数7安打とチャンスメーカーとして申し分ない働きぶりで連勝に大きく貢献した。一過性の勢いで終わらず、6月に入っても安打を重ねて目下8試合連続安打。打率.373、1本塁打、10打点の好成績を残している。外野の守備でも打球判断、送球の精度がまだまだ課題だが、俊足強肩を武器に試合に出続けることで成長の跡が見られる。

 万波とは同学年。昨季25本塁打とブレークした姿はよきお手本だ。快進撃を繰り広げる日本ハムは若手と移籍組の活躍が目立つ。「マイナビオールスターゲーム2024」のファン投票中間発表で、日本ハム勢が10部門中9部門で1位を独占。先発・山崎福也、中継ぎ・河野竜生、抑え・田中正義、捕手・田宮裕涼、一塁・アリエル・マルティネス、二塁・上川畑大悟、三塁・郡司裕也、遊撃・水野達稀、外野手・万波中正がトップに。才能が次々に覚醒することで、チーム力の底上げにつながっている。スター候補生の水谷も後に続けるか。相手バッテリーのマークが厳しくなる今後が本当の勝負になる。

写真=BBM
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