「次の世代につなげていきたい」
出場32チームの監督が登壇。都市対抗本番への意気込みを語った[写真=BBM]
【第95回都市対抗野球大会▽前夜祭】
第95回都市対抗野球大会は7月19日から12日間、東京ドームで行われる。開幕を翌日に控えた18日、東京都内のホテルで前夜祭が開かれた。出場32チームの関係者などが出席。東京ドームで繰り広げられる「真夏の祭典」を前に、社会人野球界が一体となって活性化させていこうという、結束の場となった。
冒頭では主催者を代表して日本野球連盟・清野智会長が、前夜祭の開催意図を語った。
「コロナ禍が明け、応援もフルでできる。選手たちも感染対策を頭から切り離して試合ができる。95回大会は社会人野球の再出発。そういう思いであります。皆の力でコロナを乗り越え、32チームが東京ドームで試合ができる。喜びであり、やっと、ここまで来たか、と。5年後には100回大会。先輩方が守り、育て、作ってきた歴史があります。地域、企業チーム、クラブチーム、皆さんの支えがあって、ここまできている。一緒に盛り上げ、次の世代につなげていきたいと思います」
乾杯は全日本野球協会・山中正竹会長が担った。佐伯鶴城高(大分)を経て、法大では東京六大学歴代最多の48勝を挙げ、卒業後は住友金属の左腕投手で活躍。現役引退後は同社の監督として、1982年の初優勝へと導いた実績がある。社会人選手が主体だった88年のソウル五輪ではコーチとして銀メダル、正式競技となった92年のバルセロナ五輪では銅メダルを獲得。のちに法大監督、プロ野球・横浜の球団幹部など各界で活躍してきたが、社会人野球には相当な思い入れがある。
「激戦、し烈な予選を勝ち抜き、この場に立っているチームの皆さん、ご出場、おめでとうございます。予選の厳しさは経験上、よく理解しています。東京ドームで社会人野球の持つ質の高い知性、品性、技術をいかんなく発揮し、都市対抗野球を盛り上げていただきたいです。私にとって野球とは『人生を豊かにする最高の遊び』だと思っています。遊びだからこそ、真剣になる。真剣になるから、学びがある。学びがあるから、成長する。地域、会社、家族、ファンの心を一つにし、東京ドームでグラウンドとスタンドが一体となって盛り上がる都市対抗を誇りに思います。ますます、育てていきましょう!!」
かつてトヨタ自動車でプレーした古田敦也氏[元ヤクルト]がスペシャルゲストとして、激励のメッセージを送った[写真=BBM]
ゲストスピーチとして、かつてトヨタ自動車に在籍した古田敦也氏(元ヤクルト)が登壇した。トヨタ自動車は昨年の都市対抗覇者であるが、古田氏はこう明かした。
「入社2年目の1989年に初勝利を挙げたんです。一つ勝って喜んでいた時代ですが、この35年の間に、歴史を作ってくれました。今年はどのチームが新しい歴史の1ページを記してくれるのか、注目したいと思います」
社会人野球の醍醐味とは、何か。一投一打に、多くの関係者が一喜一憂する。勝負事であり、最後は勝者と敗者に分かれるが、1試合を通じて一体感が醸成できる場だ。東京ドームでの一発勝負は、1年間の集大成。負ければ終わりのトーナメントで「結果」が評価となるシビアな世界。応援してくれる人のために、全力でプレーするからこそ、高卒入社の19歳から40歳のベテランまで、世代を超えて一致団結し、勝って歓喜し、負けて涙を流す。1回戦から決勝まで、アマチュア野球最高峰の31試合から、今年も目が離せない。
文=岡本朋祐