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門脇誠、中山礼都、泉口友汰…優勝争いの巨人で「遊撃の定位置」つかむのは?

 

上昇気流に乗りたい門脇


9月10日の首位攻防・広島戦で3安打3打点で勝利に貢献した門脇


 首位・巨人が首位攻防戦の初戦を取った。9月10日の広島戦(マツダ広島)に6対1で快勝。先制アーチを放った坂本勇人と共に活躍が光ったのが、「七番・遊撃」でスタメン出場して猛打賞3打点の門脇誠だ。5回に中前打を放つと、6回は二死一、二塁で森下暢仁のチェンジアップを左中間にはじき返す2点適時二塁打。3点差に突き放し、試合の主導権を握った。7回も一死満塁で左前適時打。5点差に突き放して勝負を決め、2位・広島と2ゲーム差に広げた。

 門脇は遊撃の定位置を保証されている立場ではない。昨年のシーズン終盤に坂本を三塁にコンバートさせる形でスタメンに定着したが、今季は打撃の状態が上がってこない。5月10日のヤクルト戦(神宮)から31打席連続無安打。守備でも精彩を欠き、ドラフト4位・泉口友汰に遊撃のスタメンを譲りベンチを温める機会が増えた。5、6月は2カ月連続で月間打率1割台に。犠打など小技でのミスも目立った。昨年は夏場に調子を上げただけに、期するものがあっただろう。8月は月間打率.295、出塁率.368をマーク。9月に入り15打数2安打で打率.133と快音が聞かれなかったが、この猛打賞をきっかけに上昇気流に乗りたい。

名遊撃手の指摘


 ヤクルトで現役時代に球界を代表する名遊撃手として活躍した宮本慎也氏は、今年6月に週刊ベースボールのインタビューで、日本を代表する遊撃に期待する若手として、門脇と紅林弘太郎(オリックス)の名前を挙げている。「どちらもボールをしっかり投げられる点ですね。一塁送球は大体が(一塁手の)ベルトから上に収まります。投げ方は少し心配ですが、長岡(長岡秀樹、ヤクルト)もスローイングはいいです。ただ、それぞれ球界トップのショートとなるにはもう少し打たないといけません。守備に加えて、打撃も頑張ってほしいですね」と語った上で、大事にしてほしい部分について聞かれると以下のように答えている。

「プレーが完了するまで一生懸命できているか。どれだけ能力があっても、そこが欠けていれば、本当の超一流にはならないと僕は思っています。どうしても結果に対する評価は高くなりますが、細かいことができているかが大事だと思います。ショートに限らず、基本であるキャッチボールを大切にする。カバーリング一つを大切にする。横着せずにプレーしてほしいですね」

虎視眈々と定位置を狙うライバル


 門脇の状態が上がらなかった時期に、遊撃を守った泉口は今季64試合出場で打率.205、1本塁打、9打点。エースの戸郷翔征がノーヒットノーランを達成した5月24日の阪神戦(甲子園)では5回に左前適時打を放ち、1対0で勝つ殊勲打となった。「今までにないぐらいの緊張感を1年目に経験させていただいて、翔征に感謝の気持ちしかない」と試合に出場することが成長の糧になっている。手堅い守備としぶとい打撃で実戦向きの選手だが、9月6日に今季2度目のファーム降格となった。走攻守でさらなるレベルアップが必要であることを痛感しただろう。再びはい上がり、門脇から遊撃の定位置を脅かせるか。

9月7日のDeNA戦で9回二死から同点打を放った中山


 背水の陣からチャンスをつかんだのが、中山礼都だ。かつては坂本から遊撃の定位置を引き継ぐ最有力候補とみられていたが一軍でなかなか結果を出せず、門脇に追い抜かれる形になった。今季はイースタン・リーグで67試合出場し、打率.332、4本塁打、30打点。格の違いを見せていたが、一軍になかなか定着できない。9月7日に4度目の一軍昇格。覚悟を決めてグラウンドに立っているだろう。同日のDeNA戦(東京ドーム)でチームを窮地から救った。1点差を追いかける9回二死一、二塁の好機で代打起用されると、右前に運ぶ同点適時打。土壇場で試合を振り出しに戻し、延長12回の末にサヨナラ勝利を飾った。この一打が評価され、遊撃で今季初のスタメン出場となった翌8日の同戦でマルチ安打をマークした。

 門脇、中山、泉口とプレースタイルは違うがそれぞれの良さがある。ヒリヒリした戦いが続く中、求められるのは結果だ。4年ぶりのリーグ優勝に向け、シンデレラボーイになれるか。

写真=BBM
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