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2024ドラフト

【2024ドラフト】米球界挑戦を決断した桐朋高・森井翔太郎 佐々木麟太郎から受けた大きな影響

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得意科目は英語


桐朋高・森井は投打の二刀流として注目された。今夏は西東京大会初戦[2回戦、対富士森高]で7回コールド敗退[2対9]した[写真=田中慎一郎]


 東京都内トップレベルの私学の進学校・桐朋高の在籍する森井翔太郎は、かねてから強く志望していた「MLB挑戦」を表明。田中隆文監督が9月20日、本誌取材に明かした。

 昨年12月にインタビューした際、田中監督によれば、森井が描く最高のシナリオはNPBで実績を残した上で、MLBで活躍することだった。仮にNPBドラフトで指名されなかった場合は、米国大学留学を考えていた。

 主な高校生で歴代1位とされる140本塁打を放った花巻東高・佐々木麟太郎は昨年10月、プロ志望届を提出せず、アメリカの大学でプレーする道を選んだ。スタンフォード大へ進学し、勉学と野球に集中し、MLB、NPBを含め、その先の人生の選択肢を広げていく。

 森井も佐々木から、大きな影響を受けていた。

「世代トップクラスの選手が表明され、こうした前例ができたのは、自分としても、行きやすい状況だと思います。最終目標はメジャー・リーガー。日本の大学を経由するよりも、アメリカの大学へ進んだほうが近道かな、と」

 得意科目は英語。ビジョンも明確だった。

「NCAAのディビジョン1でプレーするには、TOEFLの4技能(リーディング、リスニング、スピーキング、ライティング)の総合評価で120点満点で『61点以上』が4年制大学出願の最低ライン。勉強すれば、クリアできる得点だと思います」

 ところが、時間が経過していく中で心境が変化し「五分五分」と、プロ志望届を提出するか、米国留学するかの二択となっていた。今夏の西東京大会初戦(2回戦)敗退後、森井は大勢の報道陣の前でこう語っていた。

「現状は五分五分というか……。これからゆっくり考えていきたいと思います。(アメリカの大学へ見学に)行ってみたいと思いますし、これから予定を立てていきたいです」

 あくまでも、MLBへの夢を一貫としていた。

「メジャー・リーグに最終的に挑戦したい思いが強いので、どちらが良いのか分からないんですけど、そういう選択肢(米国留学)があるなら考えたい。メジャー・リーガーになりたいので、勉強もしたいというわけではなくて、野球で超一流になりたいと思っているので、野球が一番上達できる環境というのを探していきたい」


本場の野球を見て思いが強く


 9月以降に渡米。メジャー・リーグ、マイナーリーグ、大学施設を見学。本場の野球を見る中で、MLBへの思いが強くなったという。

 最速153キロ、高校通算45本塁打の逸材にNPB各球団も今春以降、注目していた。今夏の西東京大会初戦(2回戦)には日米14球団のスカウトが集結。過去にNPBドラフトで指名漏れした高校生がMLB球団とマイナー契約を結んだ例はあるが、有力候補の直接メジャー挑戦は極めて異例のケースである。

 家族をはじめ、純粋に夢を追いかける森井の思いに、田中監督も後押し。MLBと接触するためには、プロ志望届の提出が必要で、9月2日に提出。すでに複数球団との面談を終えたという。学校サイドはNPB各球団に対して、NPBドラフトにおける「指名回避のお願い」を丁寧に連絡。あるNPB球団はそれ以前に面談の上、調査書の提出を求めたが、森井本人の「メジャー志向」は相当、強かったという。学校側は12球団宛に文書を送付して、森井の率直な思いを伝えたとされる。

 今後は最終合意へと向けた絞り込みに入り、早ければ来年1月15日以降に正式契約する運びとなる。一般的なルートであれば、ルーキーリーグからマイナー組織を、一つずつ昇格を目指していく形となる。

文=岡本朋祐

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