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愛すべき助っ人たち

「中日はオレ次第」と言える実績と実力も1年で金銭トレード…“黒い弾丸”デービス【愛すべき助っ人たち】

 

中日1年、クラウン1年


メジャー実績の十分な助っ人だったデービス


中日はオレ次第なんだ」と選手がコメントしたら、間違いなくトラブルになるだろう。だが、それでも「オレ次第」を貫き、短い期間ながら結果を残し、ファンの記憶にも残り、1年で退団していった助っ人がいた。メジャー通算2547安打と別格の実績を誇り、1977年に入団したウィリー・デービスだ。37歳となるシーズンでもあり、メジャーの実績が期待を大きく裏切る伏線であることも少なくないのだが、ドジャースで主将を務め、前年もパドレスのレギュラーだった助っ人のポテンシャルは圧倒的だった。

 5月14日の巨人戦(ナゴヤ)では満塁ランニング本塁打。フェンス直撃の一打で走者一掃というのは少なくないが、圧倒的なスピードでスライディングすらすることなくデービスは本塁へ。メジャー通算397盗塁、“黒い弾丸”の異名も健在であることを見せつける場面だった。本塁打の世界記録で話題になっていた巨人の王貞治についても「オレも50本は打てると思う」と語ったが、メジャー通算182本塁打と長打力もあり、7月は打率.357、10本塁打、21打点で月間MVP。8月に入って外野守備でフェンスに激突、左手首を骨折して離脱したが、それがなければ50本塁打の可能性もあったのかもしれない。最終的には72試合で打率.306、25本塁打、63打点、10盗塁だった。

 走塁のスピードは驚異的だったが、それほど盗塁が多くないのは意外な気がする。メジャーの実績は間違いないが、いわゆる上から目線で、塁に出てもコーチのサインは見ず、「中日はオレ次第」と走りたいときに走っていたという。塁上でも落ち着きがなく、首脳陣だけでなくチームメートも持て余していたところがあったといい、数字は申し分なかったものの、オフには金銭トレードでクラウン(現在の西武)へ放出された。

 新天地では長い離脱もなく127試合に出場して、打率.293、18本塁打、69打点、12盗塁と、前年ほどのインパクトはなく、オフに退団。1年だけエンゼルスでプレーして、現役を引退した。日本プロ野球では、わずか2年のプレー。自慢のスピードと同様、すさまじい速さで駆け抜けた。

写真=BBM
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