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巨人がFAで大山悠輔の獲得叶わずも…「現有戦力で十分に戦える」期待が

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主力がメジャーを目指す時代


4年ぶりのリーグ優勝を飾った阿部監督率いる巨人


 FA権を行使した阪神大山悠輔が残留することを発表。巨人はライバル球団の主砲の獲得に乗り出していたが、吉報は届かなかった。

 1993年のオフにFA制度が導入されて以降、他球団の主力選手が巨人にFA移籍するケーが多かったが、月日の変化とともに選手の価値観も変化している。大谷翔平(ドジャース)、今永昇太鈴木誠也(カブス)、吉田正尚(レッドソックス)ら球界を代表する選手たちはメジャー・リーグに挑戦。昨オフにFA宣言した山崎福也(日本ハム)は巨人を含む複数球団で争奪戦となったが、日本ハム移籍を決断した。

FAで日本ハムから巨人に移籍した小笠原[左は当時の原辰徳監督]


 現役時代に日本ハムから巨人にFA移籍し、4年連続打率3割、30本塁打をマークするなど主力打者として活躍した野球評論家の小笠原道大氏は、週刊ベースボールのインタビューでFAについて以下のように語っている。

「世の中がメジャー、メジャーになってきました。しかし、だからと言って、NPBが衰退したわけではなくしっかりと盛り上がっています。昔と変わったのは、フランチャイズ制が定着したこと。それが大きいと思います。北海道から東北、九州まで球団があって、地域に根付いている。だからFAで九州出身の選手が九州のチームに行ったり、東北出身の選手が東北のチームに行ったり、そういうこともあるじゃないですか。ある意味でグローバル化というか、一極集中ではなくなってきているのは悪いことじゃないですよ。それぞれの考え方があっていい。今はみんなが同じテレビ番組を見るのではなく、興味のあることだけ自分のスマホで見る。もうジャイアンツだからという時代ではありません。FAは、自分が活躍できる場所を探すことが一番ですよ。そのときのチーム事情もあります。僕が日本ハムから巨人にFA移籍したのは、日本ハム以外に誘ってくれたのが巨人だけだったからですけど」

打線のやりくりに苦労したが…


巨人不動の四番として打線をけん引する岡本和


 4年ぶりのV奪回を飾った巨人だが、阿部慎之助監督が打線のやりくりに苦労した。四番・岡本和真の後ろを打つ選手が固まらず、462得点はリーグ4位。打線強化の観点で大山は欲しいピースだった。岡本和の後を打つ五番に据えられれば、打線に重厚感が出て岡本和の負担が軽減される。ただ、残念ながらラブコールは届かなかったが、悲観する必要はないだろう。

 大山の本職は一塁。巨人に移籍した場合は岡本和が他のポジションにコンバートされる可能性が高かった。守り慣れた三塁には坂本勇人がいる。岡本和が左翼に回る選択肢もあるが、打撃にかかる負担が懸念される。内野の守備力を考えれば現在の布陣がベストだろう。一塁・岡本和、三塁・坂本、二塁の吉川尚輝が今季ゴールデン・グラブ賞を受賞している。遊撃・門脇誠を含めて鉄壁と言える。

求められる坂本の奮起


 打線は今年のシーズン途中に加入した エリエ・ヘルナンデス が日本球界で十分に通用することを証明した。8月に左手首骨折で戦列を離れたが、56試合出場で打率.294、8本塁打、30打点。得点圏打率.352と勝負強さを発揮し、「三番・中堅」に定着した。

 スポーツ紙記者は、「大山を獲得できませんでしたが、浅野翔吾秋広優人など将来楽しみな若手が多いし、現有戦力で十分に戦えると思います。リーグ連覇に向け、キーマンになるのが坂本です。遊撃から三塁にコンバートされて1年目でゴールデン・グラブ賞を受賞したのは立派ですが、打率.238、7本塁打はレギュラーとして合格点をつけられる数字ではない。来年に復活すればベストですが、今年のように打撃不振で苦しんだ状況になったときに脅かす存在が台頭しないとチームが活性化しない」と指摘する。

 五番に長距離砲を据えるため、今オフは新外国人選手の補強に動く可能性が十分に考えられる。今季はヘルナンデス、 ココ・モンテス とシーズン途中に加入した両選手の貢献度が非常に高かった。メジャーで実績ある強打者でも日本野球への対応に苦しみ、力を発揮できないケースが珍しくない。実戦でプレーするまで実力は未知数だが、優良助っ人を獲得できるか。

写真=BBM

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