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【大学野球】春秋連覇の早大が祝賀会開催 野球部長が挙げた3つの勝因

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球界関係者など約380人が祝福


2025年に就任7年目を迎える早大・小宮山監督は春秋連覇の喜びを噛みしめながらも、すでに心は来春へと向いていた[写真=BBM]


 東京六大学リーグ戦で9年ぶりの春秋連覇を遂げた早大が12月7日、東京都内で祝賀会を開催した。早大・田中愛治総長、稲門体育会・河野洋平会長のほか大学関係者、稲門倶楽部(早稲田大学野球部OB会)、野球部員の父兄、支援者、球界関係者など約380人が祝福した。

 パーティー冒頭では、祝賀会の主催者である稲門倶楽部・望月博会長のメッセージが同・関口一行副会長から披露された。同会長は諸事情により、無念の欠席だった。

「本来は皆さんと一緒にお祝いをしたかったのですが出席できず、残念と思っております。今年1月の激励会では『昨年は慶應の年でした。今年は早稲田の年にしてください』とお願いしました。それを見事に実現してくれて、本当にありがとうございます。来年は東京六大学野球連盟の100周年です。選手皆さん、さらなる精進に努め、3連覇、4連覇と勝ち続けてください。期待しています」

 今年は早大が東京六大学野球連盟の当番校。早大・田中総長は祝辞で春、秋の開幕試合で始球式を務めた際に、準備段階として、野球部の活動拠点である安部球場で複数回、練習を重ねて当日を迎えたエピソードを明かした。また、練習時の開始と最後には初代部長・安部磯雄氏と初代監督・飛田穂洲氏の胸像の前で一礼をする慣例について「野球部は礼儀正しい。素晴らしいもの」と絶賛。また、リーグ制覇時に行われる旧・安部球場の跡地(総合学術情報センター内)にある両氏の胸像の前での「優勝報告」についても披露した。

チーム一丸となって


早大・日野野球部長は春秋連覇の勝因を語った[写真=BBM]


 日野愛郎野球部長はこの1年を回顧。勝因を3つ挙げた。スピーチにおいてはいつも、過去のデータを持ち出し、聞く側を惹きつける。

「昨年は(春、秋を通じて勝ち点をかけた)3回戦にもつれた4カードすべてを落としました。引き分けを挟めば、3、4回戦以降の戦いで勝ち点を奪取することが課題であるのは明確でした。総長がいつも言いますが『答えのない課題に対して、解決策を自分の頭で考える。たくましい知性が必要とされていた』。今年は5カードすべてで勝ち点を奪うことができ、粘り強いチームに成長を遂げた。これは、チームが一丸となって取り組んだその勲章が、春秋連覇と思っております」

 次に、部員の結束力。

「チームの中にはアスリート選抜を通して入部してくる部員もいれば、付属、系属の内部進学、自己推薦、指定校推薦、一般入試を経て入学してくる部員、海外の高校を卒業して入部してくる留学生もいる。異なる過程を経て入学した早稲田大学野球部の部員同士が意見を出し合って、チームを作っていく。そのプロセスこそが、何よりものかけがいのない学びだったと思います。田中総長が言う、しなやかな感性を、子どもたちが、部員たちが学年の垣根を越えながら育んでくれたことを示している」

 最後に、裏方の貢献度を挙げた。

「春秋連覇は神宮の舞台で躍動した選手はもとより、マネジャー、トレーナー、データ班の部員によって成し遂げられたことを忘れてはなりません。今年の早稲田は6年に1回、当番校に当たる年にて、とりわけ、マネジャーは連盟チーフとしても過ごした1年でありました。当番校の年に春秋連覇を遂げたのは、さかのぼること67年前、立教の1957年の連覇以来となります。努力が実を結び、うれしく思います」

新主将が語った決意


 2019年1月1日から母校を指揮する早大・小宮山悟監督は20年秋、初めて東京六大学リーグ優勝へと導いたが、コロナ禍のため、祝賀会は開催されなかった。春秋連覇。監督として迎える、初の華やかなステージだった。

「まず、皆様方にお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。春に完全優勝を遂げた後、このような祝賀会の話が出たんですが、我々の7、8月はタイトなスケジュールにて日程が組めない状況となりました。OB会・稲門倶楽部から12月に開催するとの話を聞きました。春の6月に優勝したものを12月に……。秋のシーズンはどうすればいいんだ……。負けたら大変なことになる……。後ろにいる学生たちが春優勝したことにおごることなく、日本一を目指して必死に頑張ってくれた結果。早慶戦には敗れました(1勝すれば優勝の慶大戦で連敗。同率となった明大との優勝決定戦で優勝)けれども、無事、春秋連覇。胸を張って、この場に立たせていただきました。残念ながら日本一には届きませんでしたが、私は監督として印出(印出太一主将、4年・中京大中京高)のときに失敗した数々を、小澤(小澤周平新主将、3年・健大高崎高)のときに失敗しないように、次年度のチームをしっかり作り上げていきます」

 乾杯の発声を前に稲門体育会・河野会長は心に響く「早稲田愛」を、たっぷりと語った。

「早稲田大学野球部が頑張ることが、早稲田大学に活力を与える。早稲田大学野球部は、早稲田大学そのものだと思います。求心力があり、早稲田スポーツの先頭に立つ野球部が先頭に立つことが大事だと、つくづく思いました。印出主将には敬意、尊敬の念を示したい。問題はこれから、来年勝たないと、この連覇の意味がなくなる。小澤新主将が作る3年生の責任は極めて重く、繰り返しになりますが、早稲田大学が勝たなきゃならん。早稲田大学野球部のエンジのユニフォームに袖を通したときに、君たちの緊張感、集中力、勝とうという意志を見せていただきたい」

第114代主将・印出[右]から第115代主将・小澤[左]へと、その早稲田魂が引き継がれた[写真=BBM]


 河野会長の言葉を受けて、印出主将は感謝を示した。

「これまでお世話していただいた保護者の方、常日頃から支援してくださる大学関係者の皆様、稲門倶楽部、OBの方々、神宮で一生懸命応援してくれる応援部、早稲田大学野球部のファンの皆様、皆さんのお力があったからこそ、ここまで勝ち上がることができました。(4年生は卒業後)新しいステージで野球を続ける者、一般就職する者もいますが、早稲田大学野球部で培った精神を大事にして、これからも頑張っていきます。3年生以下は、今年、取れなかった日本一を目標に掲げて日々、必死に練習を頑張っています。引き続きご支援をよろしくお願いいたします」

 12月2日、小澤新主将以下、25年の新幹部として新たなスタートを切っている。第115代主将は決意を語った。

「春秋連覇ができたチームを間近で見られたことを良い見本として、『チーム印出』が成し遂げられなかった日本一を必ず取って、小宮山監督を日本一の監督にしたい。来年はリーグ戦創設100周年。長い六大学の歴史の中で、節目の年。早稲田が頂点にふさわしいと言われるようなチームにしていきたい。これから115期をよろしくお願いいたします」

祝賀会場には天皇杯[左端]のほか、各カップが並べられた[写真=BBM]


 中締めは稲門倶楽部・南川良典副会長が、早稲田大学野球部としての存在意義を語った。

「来年2025年、東京六大学野球連盟は100周年を迎えます。早稲田大学野球部の創設者、野球部の父である安部磯雄先生の生誕160周年。2026年は早稲田大学野球部が創部125年を迎えます。早稲田が強いと、社会が盛り上がると言われています。節目の年に力を結集させて、全日本大学選手権、明治神宮大会でも必ず『アレ(日本一)』をやってくれると思っております。野球のみならず、文武両道を追求する日本学生野球の真のリーダーとして、さらに成長した姿を見せてほしいと思います」

 いつの時代も早稲田大学野球部は強くあり、気品、品格のあるチームを目指していく。

文=岡本朋祐

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