週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

リーグ優勝も背水の陣…V旅行不参加で野球漬けの日々送る「巨人の若手成長株」は

  0

高卒4年目で飛躍できず


オフも野球と向き合っている秋広。来季こそ、完全なレギュラーとなりたい


 4年ぶりのリーグ優勝を飾った巨人の首脳陣、選手たちがV旅行に旅立ったアメリカ・ハワイでリフレッシュの時間を過ごしている中、この男はオーストラリアで野球漬けの日々を送っている。ウインター・リーグに参加している秋広優人だ。

 悔しさしか残らなかったシーズンだろう。高卒3年目の昨季は121試合出場で打率.273、10本塁打、41打点をマーク。身長2メートルの長身から力強く振り抜くスイングは、無限の可能性を感じさせた。7月に4試合連続アーチをマーク。夏場以降は下降線から抜け出せなかったが、今年最も期待された若手成長株だった。

 ところが、オープン戦で打率.125と結果が残せず、開幕二軍スタートに。5月に一軍昇格したが、結果を残せず3週間も経たずファームに降格した。その後は打撃フォームの改造に着手し、追い込まれてもファウルで粘るなど必死だったが一軍定着に至らなかった。26試合出場で打率.261、0本塁打、1打点。まさかのノーアーチに終わった。ペナントレース終了後に参加したフェニックス・リーグでは2本塁打をマークし、DeNAと対戦したクライマックスシリーズ・ファイナルステージに緊急招集されたが、代打出場した2戦目で三振に倒れて登録抹消に。フェニックス・リーグが開催されている宮崎の地に再び戻り、その後は一軍から声が掛かることはなかった。

 スポーツ紙記者は「本来ならクリーンアップを張らないといけない打者です。ボールを遠くへ飛ばす能力は抜きん出ているし、変化球に対応できる柔らかさも兼ね備えている。今年は打撃のスタイルで迷ったまま終わってしまった感じがします。ウインター・リーグに参加することで、殻を破るきっかけをつかんでほしいですね」と期待を込める。

 不動の四番・岡本和真も高卒2年目の2016年オフに、プエルトリコのウインター・リーグに参戦している。17年は15試合出場にとどまったが、18年は全143試合出場で打率.309、33本塁打、100打点とブレーク。22歳のシーズンでの「打率3割、30本塁打、100打点」を達成したのは球界史上最速だった。

伸び悩みからはい上がった筒香


殻を破って16年に本塁打、打点のタイトルに輝いた筒香


 秋広と重なるキャリアから一気に突き抜けた選手がいる。筒香嘉智(DeNA)だ。高卒3年目の12年に108試合出場で10本塁打をマークしたが、13年は故障で出遅れると打撃の状態が上がらず23試合出場で1本塁打のみ。伸び悩みが危惧されたが、はい上がった。14年は114試合出場で打率.300、22本塁打、77打点をマーク。両リーグトップの得点圏打率.416と勝負強さを発揮した。その後の活躍は周知の通りだ。16年に44本塁打、110打点で2冠に輝き、侍ジャパンの四番を務めた。DeNAの主将としてもチームを牽引。チームメートだったネフタリ・ソト(ロッテ)は、週刊ベースボールの取材で筒香についてこう語っていた。

「メジャーからDeNAに帰ってきた筒香嘉智選手は、私がDeNAにいた当時のキャプテンで、人間性がとても素晴らしい人でした。自分の1、2年目のときには、すごくサポートしてくれましたね。自分の1年目は、日本という国を知らないし、文化も分からない、食べ物も何もなじみがなかった。それなのに筒香選手が時間をつくって、自分がちゃんと気持ちよく生活できるように、いろいろと手伝ってくれました。(一番の思い出?)彼とともに過ごしたすべての時間がいい時間でしたが、(2018年はソトが41本、筒香が38本で)ホームラン王争いをして、自分が勝ってしまった。けれど、お互い楽しみながらやっていましたね」

 秋広もオーストラリアで武者修行を積むことで、野球の技術面だけでなく人間的にひと回りたくましくなってほしいという期待が球団はあるだろう。今オフに大山悠輔(阪神)のFA補強に乗り出したが、大山が残留を決断したため獲得はならなかった。だが、秋広がクリーンアップを担う活躍を見せれば、得点力は間違いなく上がる。勝負のプロ5年目に向けての戦いは、すでに始まっている。

写真=BBM

この記事はいかがでしたか?

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント 0

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング