新天地で活躍を誓う
手を差し伸べてくれた
巨人で活躍を誓うのは、日米通算197勝をマークしている
田中将大だけではない。DeNAを今季限りで退団した26歳左腕・
石川達也も、新天地での活躍に燃えている。
育成ドラフト1位でDeNAに入団すると、2022年6月に支配下昇格。イースタン・リーグで22試合に登板し、防御率1.10でイースタン・リーグ優秀選手賞を受賞した。昨年は一軍で28試合登板で防御率1.97をマーク。DeNAの左腕は層が厚いとは言えない。さらなる飛躍が期待された今季は15登板で0勝0敗、2ホールド、防御率1.93と結果を残したが、5月26日の登録抹消以降は一軍登板なし。10月に戦力外通告を受け、育成契約を打診されたが断り、他球団移籍を目指すことに。そこで、獲得に動いたのが巨人だった。
今季の救援陣防御率2.27は
阪神と並んでリーグトップタイ。能力の高い投手がそろう中、石川を獲得したのは期待の表れだ。11月15日に入団会見が行われ、背番号「65」に決定。巨人の球団公式ホームページによると、
吉村禎章編成本部長が「現場からの評価も非常に高い選手で、今回獲得できて喜んでいます。貴重な左腕として、来季一軍で活躍してもらいたい」とコメント。石川は「僕自身ジャイアンツでプレーしたいという思いもありましたし、とてもうれしかった。来季のリーグ連覇、日本一に、ひとつでも貢献できるように頑張りたいです」と決意を語ったという。
精神的な強さを誇る巨人左腕リリーバー
ブルペンで良きお手本になる存在が、同じ左腕の
高梨雄平だ。ドラフト9位で入団した
楽天ではプロ3年間で164試合登板。20年7月に巨人にトレード移籍すると44試合登板し、翌21年から4年連続50試合以上登板と鉄腕ぶりを発揮している。今季は51試合登板で4勝3敗25ホールド。防御率2.04と前年の4.19から大幅に改善し、4年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。
変則左腕の高梨とダイナミックに腕を振る石川では投球スタイルが違うが、ピンチの場面でも動じずに高いパフォーマンスを発揮する精神的な強さは見習う点があるだろう。高梨はメンタルコントロールについて、週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っていた。
「僕の場合はイニングの頭から行くときも、ランナーがいてピンチで登板するときも、メンタルの準備の仕方は変わらない、変えないですね。常に自分の中で“ダブルスタンス”を持つようにしています。抑えに行くためにベストを尽くすというのはもちろんなので、当然それはひとつ持っています。でも、『打たれるときもあるよね』というのも持っておく。それで打たれたときには、そこで終わらせないで、さっき言ったように何が今日はよくなかったのかを考える。打たれて『申し訳ないな』って落ち込むより、すぐに立ち上がるほうが大事だと思っているので、2つのスタンスを持つようにしていますね。だから、外からはマウンドでも動じないように見えるのかもしれません」

巨人のブルペンの中心となっている高梨
「実際にそうじゃないですか。
中日の
ライデル・マルティネスだって打たれるときは打たれる。僕よりすごいピッチャーだって打たれる世界なんで。だから当然、僕も打たれるときがある。『ベストな準備は何かな』と考えたときに、そこにフォーカスしています。だから、抑えたときはすごく喜ぶ。けっこう感情は出すようにしていて、一喜一憂するようにしているんですけど、その感情が持続することもない。感情を出すことで、一瞬で切り替えていく。そこは今年、これまでとは変えていることのひとつで、自分の中で切り替えの精度が上がっているなと感じるところです」
DeNAでも
山崎康晃、
三嶋一輝、
伊勢大夢ら先輩のリリーバーから多くのことを学んできた。環境が変わることで新たな発見があるだろう。もちろん、巨人の偉大な先輩たちは救援陣の枠を競うライバルでもある。DeNA在籍時に「大化けする可能性がある」と他球団から高い評価を受けていた。巨人で大輪の花を咲かせられるか。
写真=BBM