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【大学野球】「プロ志望」の早大・伊藤樹、尾瀬雄大が語った学生ラストシーズンへの思い

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春秋連覇と日本一


早稲田大学野球部の初代部長・安部磯雄氏[右]と初代監督・飛田穂洲氏[左]の胸像前で、学生ラストイヤーの決意を語った。左は伊藤樹、右は尾瀬[写真=BBM]


 早大が1月5日、2025年の練習をスタートさせた。24年は東京六大学リーグ戦で9年ぶりの春秋連覇。年間9勝を挙げた151キロ右腕・伊藤樹(4年・仙台育英高)と、年間42安打を放った不動のトップバッター・尾瀬雄大(4年・帝京高)は、ともに春秋連続ベストナイン受賞と投打のけん引役となった。迎える最終学年は、チームの勝利に貢献した上で、秋にはドラフト会議が控える。「プロ志望」の2人が、学生ラストシーズンへの思いを語った。

――学生ラストシーズンの新年の練習始動日を迎えて、何か思うところはありますか。

伊藤樹 年末は母校の仙台育英で須江先生(航、監督)にあいさつし、宮城経由で秋田に帰省しました。地元では「優勝おめでとう!!」と声をかけていただき、今年もリーグ戦で春秋連覇したいという気持ちと、日本一になりたい思いがあらためて芽生えました。

尾瀬 チームとしては、東京六大学リーグ戦での春秋連覇と日本一を目指さないといけないと思いましたし、個人としても、今年は勝負の年なので、身が引き締まります。

伊藤樹 学生として最後の年であり、家族にも「頑張ってきます!!」と言ってきたので、あとは結果を出すだけかな、と。ドラフトで指名されて、恩返しをしたいと思います。

尾瀬 自分も大学卒業後はプロに行きたいと思っているので、東京六大学野球連盟の歴史に名を刻んだ上で、ドラフト会議で指名していただけるよう日々、努力をしていきます。

――目標の数字を教えてください。

伊藤樹 早稲田大学入学時、小宮山悟監督とは「20勝」を4年間の照準にしていくことを話したので、確実に超えたいな、と思います。

――尾瀬選手にも大きな目標がある、と。

尾瀬 はい。早稲田の先輩である岡田さん(岡田彰布阪神前監督)の歴代最高打率.379を狙える位置にいる(尾瀬は3年秋までに通算打率.369)ので、(岡田氏の通算)安打数117と両方を超えられるように頑張りたいと思います。117安打に到達するには、あと44本。単純計算で、首位打者を取ったようなシーズン(3年春に48打数23安打)を今年の春、秋とやらないといけないことなので……。でも、1回できたということは、できない数字ではないので、あくまでもそこを目指します。

「11」と「1」を背負って


151キロ右腕・伊藤樹は3年秋までに東京六大学リーグ通算13勝[3敗]、防御率1.74。まずは目標である通算20勝に到達し、その先を貪欲に目指していく[写真=BBM]


――投手から見て、不動の「一番・中堅」の尾瀬選手とは、どう映りますでしょうか。

伊藤樹 昨秋までの試合を振り返っても、良くも悪くも「雄大の出来」みたいな部分がありました。雄大は出塁率が高く、早稲田の得点をパターンができていたと思うので、ラスト1年、変わらずにやってもらえれば、チームの勝利にも近づくと思う。互いの成績のためにも、活躍してもらいたいのはあります。

――センターの定位置から見た、伊藤樹投手の背番号「11」はどう見えますか。

尾瀬 樹が「自分の出来次第」みたいなことを言いましたが、早稲田が勝つには「樹の出来次第」というところがある。少ない得点で、最少失点で逃げ切るのが、早稲田の野球です。樹は絶対に試合を作るので、すごいなと思って見ています。昨秋、あと1勝で春秋連覇だった早慶戦の1回戦で敗戦投手となり、まさか、負けるとは……と。(慶大2回戦で連敗後、中1日で迎えた)明治との優勝決定戦では完封。やはり、エースなんだな、と思いました。

――背番号「11」を着ける2年目となります。

伊藤樹 3年生になって着けさせていただいて、高校時代に「1」を着けたときよりも重みがあり、エースナンバーの重圧を感じながら1年間、投げてきました。数々のプレッシャーを受け止める中で結果を出し、大学4年目を迎えられるのは、自信になります。もう1回、「11」を着けさせてもらってプレーできることにありがたみを感じて、昨年以上に結果を残せるようにしていきたいと思います。

左のヒットメーカー・尾瀬は3年秋までに通算73安打。レギュラー奪取は2年春であり、4シーズンで72安打を量産してきた。ベストナイン3回受賞、通算打率.369と安定感抜群である[写真=BBM]


――尾瀬選手は1年時に「48」、2年時に「29」3年時に「24」を着け、最終学年は野手のリーダーを意味する背番号「1」を着けます。

尾瀬 背番号「1」は早稲田に入学した際、4年時には着けたいと思っていました。1番は野手の主役というか、1年時は蛭間さん(蛭間拓哉西武)、2年時は熊田さん(熊田任洋、トヨタ自動車)、そして、昨年は吉納さん(翼、楽天)が着けて、すごい先輩ばかりなので、自分も負けないように頑張ります。自分が先頭に立ってやらないといけないですし、打順も一番なので、塁に出てかき回していきたいです。

――お二人は新チームで主将、副将らの役職はありませんが、グラウンド上で、プレーでけん引していく役割が求められると思います。

伊藤樹 主将の小澤(小澤周平、4年・健大高崎高)はしっかりやってくれていますし、今までにないリーダーシップを発揮しています。周りがちゃんとついていくように、下から支えていかないといけないな、と思います。プレーに関してはエースということはもちろんなんですけど、投手陣の最上級生として、成績もそうですが、練習の姿勢であったり、後輩たちに知識などを残していきたい。コミュニケーションを取りながら、投手陣全体のリーダーとしても引っ張っていきたいです。

尾瀬 3年秋までの数字を見れば、樹と自分が引っ張っていかないといけない立場であると自覚しています。小澤は主将としてしっかりやってくれているんですけど、自分のことも頼りにしてくれている。グラウンドでのプレーはもちろん、寮生活や日々の取り組みでも、模範的な行動をしていきたいと思います。

東京六大学野球連盟が創設100年


――今年は東京六大学野球連盟が創設100年です。1901年創部である早稲田大学野球部の部員として、果たすべき決意をお願いします。

伊藤樹 この春、秋で天皇杯を奪取することができれば、早稲田として2度目のリーグ4連覇と、同時に50度目の優勝に到達します。自分たちは、それを狙える代になるので、しっかりと記録にもこだわってやりたい。神宮の歴史に刻むことができればと思います。

尾瀬 樹が言ったように50度目の優勝というのもありますし、監督からは「早稲田史上最高の打者になれ!!」と言われています。リーグ4連覇へと導いた上で、岡田さんの通算打率を更新することが「早稲田史上最高の打者の条件だ」と。チームの勝利のために、自分の成績も求めていきたいと思っています。

伊藤樹 小宮山監督からは、ずっと「まだまだエースじゃない」と言われてきましたが、昨秋に「エースらしくなってきた」と評価していただいたんです。その評価を落として終わらないように、通算20勝とリーグ4連覇、そして、最大の目標である全日本大学選手権と明治神宮大会で日本一まで上り詰め、年間タイトル4冠で卒業したいと思います。

尾瀬 1年時は春、秋で計1安打しか打てず、2年春から出場機会に恵まれ、3年秋までに73安打を積み上げてきました。日々、安部球場で取り組んできた練習を信じ、神宮では目の前の打席に集中していきたいと思います。

文=岡本朋祐

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