新主将は打撃三冠に照準

明大は2023年春以来のリーグ優勝奪還へ、25年を始動した。左から高須、主将・木本、松岡コーチ、小島[写真=BBM]
明大が1月8日、府中市内の活動拠点である内海・島岡ボールパークで2025年の練習をスタートさせた。朝5時50分から年始恒例のポール間30本走を、約1時間かけて消化。全部員が軽快にメニューをこなし、今春から母校を指揮する明大・戸塚俊美監督は「良いスタートが切れました」と目を細めた。
新チームの主将・木本圭一(4年・桐蔭学園高)は「特に同学年は、ラスト1年。勝つつもりで集まってきているなと思いました。昨年は春、秋とも2位でしたので、勝ちにこだわった1年、全員で4冠(春、秋のリーグ戦、全日本大学選手権、明治神宮大会)を目指していきたい」と決意を語った。
昨年のチームは、ドラフトで5球団が1位競合した遊撃手・
宗山塁(
楽天)が主将としてけん引。二塁手の木本はこの2年間、尊敬する1学年先輩と二遊間を組んできた。
「宗山さんの後なので、ちょっとやりづらい(苦笑)。宗山さんのようなスター選手はいませんが、チーム力、つながりで勝負し、日本一を取りたいと思いま
年末年始は中学(静岡裾野シニア)、高校(桐蔭学園高)でチームメートだった法大・
松下歩叶(4年)と、あいさつ回りなどで計4日間、一緒に行動したという。昨春は木本が二塁、松下が三塁でベストナインを同時受賞。「気にせずにはいられない。1年生のときから意識してやってきた。良いライバル」と語る。松下は2年秋から昨秋まで3季連続ベストナイン受賞で、昨夏は大学日本代表でもプレーしている。木本は「目標は三冠王。打率4割。松下がいるので、5本塁打は打ちたい。打点は20を目指していきたい。秋にはドラフトを控えている。評価していただけるような結果を残したい」と、チームを引っ張っていく上で、数字にもこだわっていく。
法大・松下とともに昨年、大学日本代表に名を連ねた
小島大河(4年・東海大相模高)は「木本と同率で取りたいと思います」と、打撃タイトル三冠を照準としている。
昨年は春.381、秋.340と高打率をマークし「左の打てる捕手」として注目を浴びている。大卒でのドラフト指名を目指すが「評価は自分がするものではない。目の前のことを全力で。自分よりもチームのための1年にしていきたい」と、あくまでも自然体を強調する。
今春は5勝が最低ラインの153キロ右腕
控えめな司令塔とは対照的に、身長192センチの153キロ右腕・
高須大雅(4年・静岡高)は「高校から大学進学する時点で、4年後にはドラフト1位でプロに行く」と覚悟を持って、学生ラストイヤーを迎えた。高須は昨春、最優秀防御率のタイトルを初受賞し、夏は日の丸を背負い、2つの国際大会で優勝に貢献した。だが、秋はシーズン途中に右肘を痛め、戦線離脱。以降はリハビリに専念し、現在は70パーセントの出力に戻ってきており、「全試合で完封することが目標」と、今春は5勝を最低ラインに設定している。
好きな投手は楽天・
岸孝之。「真っすぐのキレ、伸びとも理想です」。最終学年は「チーム内の競争の上で、自分が着けたい」と、歴代エースが着けてきた背番号「11」を目標とする。
明大は充実の指導体制が整う。戸塚監督のサポート役として、
松岡功祐コーチ兼寮長が10年ぶりに明大に復帰。グラウンドに隣接する島岡寮では、戸塚監督とともに寝食をともにする。
「情熱があり、経験も豊富。高校、大学、社会人、プロ、独立リーグ、中国でも指導実績があり、スカウトとしても長く活動してきました。選手を見る目が素晴らしい。80歳を超えていますが(今年2月9日で82歳)、元気なうちは頑張っていただきたい」(戸塚監督)
明大は2023年春以来のV奪還へ、4年生を中心に、地道にチームづくりを進めていく。
文=岡本朋祐