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巨人で昨季トップ登板数も一軍保証なし…他球団警戒の「左腕リリーバー」は

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クローザーを託されたことも


昨季は一軍で58試合に登板したバルドナード


 リーグ連覇を目指す巨人で注目されるのが、外国人選手の起用法だ。一軍登録できる外国人選手は5人、ベンチ入りできるのは4人まで。攻守の核として期待されるエリエ・ヘルナンデス、先発左腕のフォスター・グリフィン、リリーバーのカイル・ケラー、アルベルト・バルドナードに加えて、中日を自由契約となり守護神の最有力候補と見られるライデル・マルティネス、左の強打者として期待されるトレイ・キャベッジの6人が一軍枠を目指して競う形となる。

 コンディションが万全ならヘルナンデス、グリフィン、マルティネスは当確だろう。打線強化の観点からキャベッジも期待値が大きい。残りの1枠をどうするか。ケラーとバルドナードのどちらかがファーム待機となる。

 昨年の救援陣防御率2.27は阪神に並ぶリーグトップタイ。ただ、前半戦から順風満帆だったわけではない。セットアッパーで計算していた中川皓太が4月中旬に左膝痛で登録抹消。ケラーも本調子とは言えずファームに再調整となり、守護神の大勢も5月上旬に右肩の違和感で戦線離脱した。勝利の方程式が崩れる危機で、チームを救ったのがバルドナードだった。開幕から15試合連続無失点と抜群の安定感を見せ、杉内俊哉投手チーフコーチから「一番抑えていますからね。バルちゃんかな」とクローザーを託された。

 6月は失点する登板が目立ったが、7月以降は立て直した。チームメートの高梨雄平は「バルちゃんはファイターです。ブルペンからマウンドへ向かうとなった瞬間に『バン!』とスイッチが切り替わります。普段はめちゃくちゃふざけていて、のんびり。いつも冗談で『今日も休みたいな』とか言っているんですけど、マウンドに上がるとまるで別人。やっぱり異国の地まで戦いに来ていますから、目に宿る執念が違います。ハングリーでカッコいい人だなと思います」と尊敬の念を語っている。

 チームトップの58試合登板で2勝3敗9セーブ26ホールド、防御率2.44。196cmの長身から投げ下ろす直球は常時150キロ以上を計測し、チェンジアップとスライダーの精度も高い。51回2/3で63三振。奪三振能力が高いのは大きな武器だ。他球団のスコアラーは「球速以上に速さを感じる。右打者を苦にしないし、厄介な投手です」と警戒を強める。

「JFK」をつくった岡田監督


 昨年まで阪神で指揮を振るった岡田彰布元監督は、1次政権でジェフ・ウィリアムス久保田智之(現阪神ファーム投手チーフコーチ)、藤川球児(現阪神監督)で強力救援陣を作り上げ、05年にリーグ優勝を飾っている。岡田元監督は週刊ベースボールのコラムで、リリーフに必要な要素を以下のように語っている。

「3人に共通するのは何か。リリーフとして最も大事な三振が取れること。これに尽きるわけです。前に飛ばされてはいけない場面で3人は、三振を奪えるのです。藤川のホップするようなストレート。ウィリアムスのエゲつないスライダー。そして久保田の球質の重い真っすぐ。これらはすべて力であり、このパワーの結集で、タイガースにJFKが構築されたのである。対戦相手は、試合は6回までに決まる……といったイメージが出来上がっていたようだ」

「6回を終了した時点で、1点でもリードされていたら、もうアカン。そんな風情が見れて取れたもんね。それほど強力、強烈だった3人に対し、スポーツ紙がJFKと名付けた。ホンマ、ピッタリのネーミングやった。このタイガース方式は、その後の球界に影響をもたらしたと自負している。イニングの7回以降の重要性が認識され、どのチームもセットアッパー、クローザーに強力スタッフを据える方法を取り入れた。そういう意味でもJFKは球界に変革をもたらした勝利の方程式と言っていいのではないだろうか」

 マルティネス、ケラー、バルドナードと能力の高い3人のリリーバーをどのように起用するか。阿部慎之助監督の手腕が問われる。

写真=BBM

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