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昨年はファームで投手3冠も一軍未勝利…「斉藤和巳に憧れる右腕」は覚醒できるか

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背番号を58から66に変更


昨年は一軍では結果を残せなかった阪口


 先発陣再建が最重要課題のヤクルトで、一本立ちしてほしい投手の一人が阪口皓亮だ。

 昨年はイースタン・リーグで最多勝(9勝)、最優秀防御率(2.24)、最高勝率(.750)と投手タイトルを獲得したが、一軍登板は2試合登板で0勝1敗、防御率10.80。4月20日のDeNA戦(神宮)で5回途中6安打5四球と制球に苦しみ、7失点KOと古巣相手に悔しい登板となった。3カ月後に一軍昇格し、7月28日の広島戦(神宮)で2度目の先発のチャンスを与えられたが、4回途中5安打3失点KO。試合をつくることができなかった。オフの契約更改で、球団オフィシャルサイトを通じてコメントを発表している。

「ファームでタイトルを取れた事は有り難いことですが、勝負をしていく場所はそこではないと思うので、そういった面では、嬉しさと情けなさを感じるシーズンでした。怪我をせずにシーズン通して投げられたことは、良かったです。(来シーズンに向けて)2年連続Bクラスですし、僕自身も日本一を経験していないので、その景色を見たいなという思いがあります。どんな形であれ、チームのために腕を振ることができれば良いかなと思うので、このチームのために身を捧げていきたいと思います」

 ファームの投球を一軍でできれば――。そう感じるのは昨年に限った話ではない。DeNAにドラフト3位で入団すると、高卒3年目の20年にイースタン・リーグで4勝1敗、防御率2.07をマークし、優秀選手賞を受賞。21年は最高勝率(.800)、22年も最多奪三振(91奪三振)のタイトルを獲得している。

 今季がプロ8年目。将来への期待値で起用される時期は過ぎている。決意の表れとして、昨オフに背番号を58から66に変更した。阪口は週刊ベースボールの取材で、その思いを語っている。

「プロに入ってから斉藤和巳さん(ソフトバンク三軍監督)を目標にしてきたので、いつかは背番号66にしたいなと思っていました。今年はファームではいい成績を残せましたが、一軍ではよくなかったので、心機一転という意味も込めて変更させていただけないかお願いしました。和巳さんはすべての球のレベルが高いのももちろんですが、チームを勝たせる力がすごい。勝ちにどん欲な部分もあこがれる理由の一つです。直接お会いしたことはないのですが、DeNA時代にインスタグラムのDMでメッセージを送らせていただき、交流は続いています。投球のことやオフシーズンの過ごし方などを聞きましたね」

一気にプロ野球界の中心に


プロ8年目に大ブレークを果たした斉藤


 斉藤氏は入団以来右肩痛に苦しみプロ7年目まで通算9勝だったが、03年に当時プロ野球記録の16連勝を飾り、パ・リーグで1985年の佐藤義則以来となる20勝をマーク。最多勝、最優秀防御率(2.83)、最高勝率(.870)、沢村賞を受賞してチームを導いた。05年も16勝1敗で最高勝率(.941)を受賞。シーズンで15連勝以上を2度マークしたケースは史上初だった。06年も18勝5敗、防御率1.75で2度目の最多勝、最優秀防御率、最高勝率(.783)、初の最多奪三振(205)と投手タイトルを独占。08年以降は右肩痛で一軍のマウンドから遠ざかり、リハビリの末に13年7月に現役復帰を断念することを表明した。規定投球回に到達したのは4シーズンと輝きを放った時期が長いと言えなかったが、投げるたびに雄叫びを上げて勝利への執念を露わにするスタイルはファンの心を揺さぶった。

 週刊ベースボールのインタビューで、現役時代を以下のように振り返っている。

「僕はドラフト1位ではありますが、それほど注目されて入った選手じゃないですし、1年目は二軍でも投げていない。3年目には手術もして、ローテーションを守るまでに8年かかっているんです。だから一層、そういう環境、時間に幸せを感じていました。痛みを押して投げる、それは本当のプロとしてはクエスチョンが付くところですけど、でもそれは僕の生き方なんで。誰に非難されようと、何を言われようと、どう見られようと、自分のその時、その時に下してきた決断に、まったく後悔はないですね」

 野球人生はそれぞれの選手に転機がある。背水の陣を迎え、憧れの投手の背番号をつける阪口は野球人生を変えられるか。

写真=BBM

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