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体重大幅減の中田翔に復活の予感 他球団から「故障なければ活躍する」警戒が

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春季キャンプで軽快な動き


移籍1年目の昨季は一軍で4本塁打に終わっていた中田


 明るい表情がコンディションの良さを物語っている。オフに15キロの大幅な減量を敢行し、体重が100キロ前後に。春季キャンプで軽快な動きを見せているのが中日中田翔だ。

 第1クールは体のケアに重点を置いて名古屋市内で調整し、第2クール初日の2月6日から沖縄・北谷の一軍キャンプに合流。16日のシート打撃で、1打席目に大野雄大の変化球に反応して内外野の間に打球が落ちると、守備陣の動きを見て一気に二塁を陥れた。2打席目は涌井秀章との対戦。カウント2-2からスライダーを中前にはじき返し、一塁の塁上でガッツポーズした。

 一塁の守備でもフットワークが軽い。細川成也のファウルフライを追いかけると、防球ネットのギリギリで好捕。スタンドから拍手が起きた。動きを見守った他球団のスコアラーは「この時期の結果どうこうではなく、ケガの不安がない状態に仕上げるかどうか。技術はあるのでコンディションが整えば活躍するでしょう」と警戒を口にした。

不完全燃焼だった昨年


 大きな覚悟で移籍だっただけに、昨年は不完全燃焼だった。巨人で3年契約の1年目が終わったばかりの2023年オフに、契約の見直しや破棄ができるオプトアウト権を行使して退団。阿部慎之助監督が就任し、坂本勇人が三塁、岡本和真が一塁に起用する方針を打ち出したことで、新天地に出場機会を求めた。

 立浪和義前監督の期待は大きく、開幕から「四番・一塁」に座ったが、5月中旬に右太ももを痛めて登録抹消に。同月下旬に再昇格したが、打撃の状態が上がって来ない。一軍と二軍を行き来して、8月に腰痛で戦列を離れると復帰できなかった。62試合出場で打率.217、4本塁打、21打点。球団史上初の3年連続最下位に沈んだ。

 昨オフに契約更改を終えた後の会見では、「僕も腹をくくって名古屋に来ているし、本当にラストチャンスだと思ってしっかりと全うしたい。最後まで後悔なく。その先のことは神様が決めること。まずは自分が全力でやって、来季はチームとして笑い合ってシーズンを終われるように。そこを目指して体作りをして、1年間戦い抜くことを目指したい」と誓った。今年が2年契約最終年。自身が置かれた立場は理解している。「こういう世界なのでダメなら切られるのが当たり前。毎年やりたくても去っていかないといけない選手がたくさんいる中で、僕もそういう先輩方や同期をたくさん見てきている。ダメだったらダメ。それだけのこと」。腹をくくった上で、もう一度はい上がる決意に満ちていた。

同学年の選手の活躍が刺激


「89年世代」の中田は4月に36歳を迎える。同学年の選手たちの活躍が刺激になることを公言するスラッガーは、このままでは終われない。巨人でチームメートだった菅野智之は昨年15勝をマークして自身4度目の最多勝に輝き、3度目のMVPで4年ぶりのリーグ優勝の原動力に。オフにメジャー挑戦を決断して海外FA権を行使、オリオールズに移籍した。丸佳浩も主に一番で138試合に出場し、打率.278、14本塁打、45打点をマーク。菊池涼介(広島)、鈴木大地(楽天)、益田直也(ロッテ)も主力選手として活躍している。

 二軍監督から昇格した井上一樹監督は「前向き」、「ポジティブ」という言葉を積極的に発信し、選手たちに意識改革を促している。

「競争です。力のある人間を使います。選手には『俺の好きな選手になれ』と言った。試合への出場意欲にあふれた選手でなくちゃいけない。そしてみんな同じ方向を向く。それも大切。負けて笑っているような選手がいたら、使いません」

 中田に一塁の定位置が保証されているわけではない。新外国人のジェイソン・ボスラーも打撃で状態の良さをアピールしている。熾烈な競争を制し、井上監督の信頼を勝ち取れるか。プロ18年目は不退転の決意で挑む。

写真=BBM

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