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神主打法で覚醒の予感…オープン戦絶好調でオコエに「巨人の救世主」期待が

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評価できる打席内容


オープン戦で打撃が好調だったオコエ


 開幕戦の選手起用で予想が難しいのが、リーグ連覇を狙う巨人だ。丸佳浩が3月22日のロッテとのオープン戦(東京ドーム)で走塁中に右太腿を痛めて途中交代。翌23日に都内の病院で「右大腿二頭筋筋損傷」と診断された。攻守の軸となる選手だけに戦線離脱は大きな痛手だ。中堅は誰が守るか。その有力候補がオープン戦で打率.375と打撃好調だったオコエ瑠偉だ。

 競争に生き残るために必死だ。「二番・中堅」で先発出場した3月9日の阪神とのオープン戦(甲子園)で5打数4安打の大暴れ。初回に遊撃内野安打、2回に左前打、3回に中前適時打を放つと、5回はフォークを中前にはじき返した。11日のソフトバンクとのオープン戦(長崎)では2点差を追いかける8回二死満塁の好機に代打で登場すると、ドラフト6位右腕・岩崎峻典のツーシームを中前にはじき返す2点同点適時打。体の軸がブレず、変化球への対応能力が高い。3月15日のプレシーズンマッチ・ドジャース戦(東京ドーム)では「大谷翔平キラー」として知られる左腕のタナー・スコットの直球をライナーで中前にはじき返した。150キロ中盤の直球をきっちり捉えた打席内容は高く評価できる。

紆余曲折を経て


 順風満帆な歩みではない。ドラフト1位で入団した楽天で一軍に定着できないシーズンが続き、22年オフに現役ドラフトで巨人に移籍。当時一軍ヘッド兼バッテリーコーチだった阿部慎之監督の助言を受けながら、打撃フォームの改造に取り組んできた。昨年は開幕を二軍で迎えたが、4月上旬に昇格すると自己最多の68試合出場で打率.261、3本塁打、13打点をマーク。9月7日のDeNA戦(東京ドーム)で自身初のサヨナラアーチを放つなど、同月は月間打率.314、1本塁打、8打点をマーク。得点圏打率.323と勝負強さが光った。DeNAと対戦したクライマックスシリーズ・ファイナルステージでも5試合で先発起用された。

 体の正面でバットを揺らして脱力した構えから鋭いスイングに移行する打撃フォームは、現役時代にNPB史上唯一の三冠王を3度獲得した落合博満氏を彷彿とさせる。余計な力を入れず自然体で構えるこのフォームで覚醒した選手は少なくない。西武でプレーした高山久はその一人だ。ドラフト1位で入団以降に打撃で試行錯誤していたが、09年のシーズン途中に神主打法へモデルチェンジしたことが野球人生の大きな分岐点になる。プロ11年目の翌10年に116試合出場で打率.291、11本塁打、48打点と自己最高の成績をマーク。打撃フォームの改造を繰り返す中でたどりついた打法で、落合氏を参考にしたわけではなかったが、内角の難しい球を左中間に運ぶ鮮やかなさばき方はそっくりだった。

「またビールかけ、やりたい」


 オコエも身体能力の高さを考えると、まだまだ満足できる立ち位置ではない。外野の定位置をつかむには、打撃でアピールし続けなければいけない。昨年はプロ野球人生で初のリーグ優勝を経験したが、ファイナルステージで敗退して日本シリーズに進出できなかった。今年はさらなる高みを目指し、期する思いは強い。

「優勝、ビールかけは人生で初めての経験だったので、本当に最高でした。あんなに目にしみるとは知りませんでしたね。普段飲むビールとは違う、格別な味です。ビールのほかにも日本酒やシャンパンとかもありました。19歳の翔吾(浅野翔吾)のための炭酸水もいっぱい用意されていましたね(笑)。皮膚からもアルコールが入ってくる感じで、正直に言いますと、次の日の試合はかなりしんどかったです(笑)。今シーズンは一軍にいないときもあったんですけど、シーズン終盤は出番をいただいて、少しでもチームに貢献することができたかなと思います。日本シリーズに勝って、またビールかけ、やりたいですね」と週刊ベースボールのインタビューで語っている。

 丸が戦線離脱した穴を埋めて余りある活躍を見せられるか。巨人の命運を握る選手の一人であることは間違いない。

写真=BBM

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