来日2年目の右腕
昨オフにDeNAの戦力補強で話題になったのが、2年ぶりに復帰した
トレバー・バウアーだった。
サイ・
ヤング賞右腕は2023年のシーズン途中にDeNAに加入し、10勝4敗、防御率2.76の好成績をマークした。個性的な性格でアメリカのメディアからは「トラブルメーカー」と称されることがあったが、DeNAでは闘志を前面に押し出す投球スタイルと高度な投球技術でチームに大きく貢献した。
電撃復帰した今年は初登板となった3月29日の
中日戦(横浜)で、6回6安打8奪三振1失点の力投。先発ローテーションの軸として今後の活躍に期待を抱かせたが、31日に上半身の違和感で登録抹消された。早期復帰できるか気になるところだが、先発陣はバウアー頼みの陣容ではない。エースの
東克樹、左腕の
アンソニー・ケイと共に主戦として計算されている投手が、来日2年目右腕の
アンドレ・ジャクソンだ。
他球団のスコアラーは「バウアーは攻略が難しい投手ですが、個人的にはジャクソンのほうが厄介ですね。課題だった制球力が改善され、状態が良いときはバットに当てることすら難しい。タフで長いイニングを投げられますし、投手タイトルを狙える力を持っていると思います」と警戒を強める。
高まった安定感
メジャーでは通算26試合登板で1勝と目立った実績を残せなかったが、日本球界に挑戦して成長した。来日1年目の昨年は4月に5試合登板したが1勝3敗、防御率6.26と制球難から崩れる場面が目立った。ところが、5月に約2週間のファーム調整を経て一軍復帰すると、制球力が改善されて安定感が高まった。野球評論家の
荒木大輔氏は週刊ベースボールで、ジャクソンについて以下のように分析していた。
「平均球速152.0キロのストレートを臆することなくストライクゾーンへ投げ込んでいきます。コーナーにビタビタに決まるというわけではありませんが、だいたいのコースには行く。フライアウトが多いことからも分かるように、非常にスピンも効いていて、この威力があるストレートなら十分勝負することができます。チェンジアップの抜け具合も抜群で、時折投じられる
ナックルカーブも打者にとっては厄介でしょう」
「報道で目にしたのですが、5月上旬に二軍落ちしたジャクソンは昨年、DeNAで結果を残したトレバー・バウアー投手が日本球界にどうアジャストしたのかアドバイスを求めたそうです。さらに日本球界のストライクゾーンをしっかり把握するために、ブルペンで捕手をホームベース板上に座らせた投球練習への取り組みも行いました。実際に捕手がストライクゾーン上で構えていることによって、実際に自分で確認しながらボールを投げることができます。そういったことによって制球力も上がってきたのでしょう」
今季初先発で初勝利
バウアーの日本球界適応法を探ったのは、日本球界で成功したいという気概の表れだろう。外国人投手では14年の
ギジェルモ・モスコーソ以来球団史上9年ぶりに規定投球回をクリアし、25試合登板で8勝7敗、防御率2.90をマーク。日本一に上り詰めた短期決戦でも奮闘が光った。
阪神と対戦したクライマックスシリーズファーストステージでは第2戦で先発し、6回途中9奪三振1失点の快投。
ソフトバンクと激突した日本シリーズでは第1戦で投手の
有原航平に先制適時打を浴びて黒星を喫したが、中4日で登板した第5戦で7回3安打無失点とリベンジして2試合連続完封勝利の立役者に。シリーズ優秀選手に選ばれた。
今年は開幕2カード目の初戦となる4月1日の阪神戦(京セラドーム)で先発を託され、7回3安打1失点の好投。初回から158キロを計測するなどエンジン全開の投球で阪神打線から9三振を奪った。白星の好スタートを切り、「(初回は)アドレナリンがドバドバと出るような回で、阪神ファンの皆さんもそうだが、遠いところまでお越しいただいたベイスターズファンの皆さんの熱い応援のおかげで勝つことができました」とお立ち台で穏やかな笑みを浮かべた。
昨年の経験を糧に、マウンド上の姿を見ると風格が漂っている。リーグ制覇、2年連続日本一に向けて右腕を振り続ける。
写真=BBM