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【大学野球】東京六大学でビデオ検証、DH制を導入 加盟6校の監督の反応は?

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学生野球の見本に


東京六大学の6校の監督は、今春から導入されるビデオ検証についての見解を語った。左から早大・小宮山監督、明大・戸塚監督、法大・大島監督、立大・木村監督、慶大・堀井監督、東大・大久保監督[写真=BBM]


 東京六大学野球連盟は1925年秋に創設され、今年で結成100周年を迎えた。1世紀の節目となる春のリーグ戦は4月12日に明治神宮野球場で開幕する。シーズンインを2日後に控えた10日、東京都内で連盟関係者と関係者、報道各社による懇親会が開かれた。

 加盟6校の監督、主将に加えて、東京運動記者クラブアマチュア野球分科会が選出した指名選手6人が出席。この日の懇親会前には理事会が行われ、今春からのビデオ検証の導入と、来春からの指名打者制導入が承認された。

 東京六大学野球連盟・内藤雅之事務局長はビデオ検証についてこう説明した。

「高校野球、大学野球とも(全国大会で導入するかは)検討中です。東京六大学は100年を迎えましたし、これまでも学生野球の見本になりたいと思って頑張ってやっていますので、導入して、大学選手権や高校の大会や他のリーグの参考になっていただければなと思っています」

 ビデオ検証の対象は本塁打、エンタイトル、フォースプレー、タッチプレー、フライのキャッチ・ノーキャッチ、ファウル・フェア、走者の追い越し、塁の空過、死球、危険なプレー。NPBでも確認されているが、投球判定、ハーフスイング、ボーク、打撃妨害、守備妨害は対象外となっている。

 プロ野球ではなく、学生野球という背景もあり、監督のみが球審にビデオ検証を要求することができる(2分以内で決着)。審判員4人のうち、当事者を除いた3人で検証。9イニングで1回で、成功すれば2回目も可能だ。なお、延長は1回という取り決めがされた。場内のスクリーンに、映像は流さない。また、塁上の選手が監督に要求することもできない。あくまでも、監督の判断で運用される。

 指名打者制について、内藤事務局長は「昨年あたりから、監督の中で相談をいただいてきました。監督会では『せっかく99年同じルールでやってきましたので、100年目はこのままでいきましょう』という意見で一致し、101年目から採用することになりました」と説明。導入の経緯を内藤事務局長は「MLBはすべて指名打者制になっています。(過去には)東京六大学の卒業生が進むところは、指名打者制を使っていないのならば、使わないというのもあったんですが……。セ・リーグはそのままですけど……。今回はそういうことも含めて、採用に至りました」と明かした。

野球がどう変わっていくか


 加盟6校の監督の反応は、こうである。

「ビデオ判定に関しては連盟で導入ということが決まりましたので、我々としてはそれに従う、と。ただ、運営上、腑に落ちない部分もあったので、どうしようかな? と思案しております。DH制に関しては、ずっとピッチャーが打席に立つ野球をし続けてきたことに対して、ここであきらめるというのが残念ではありますけど、世の中の流れですからやむを得ないと思っております。ただ、これで高校生を勧誘するのに『打つだけ番長』を採れるというメリットが出てきたかなと思っております」(早大・小宮山悟監督)

「ビデオ判定、DHにつきましては時代の流れで仕方ないのかな、と。私も長年、審判員をやっていたものですから、ビデオ判定は賛否両論があったと思うんですけど、今回、審判員の方から声が上がったと聞いております。それはそれで、進めていくしかないのかなと思っております」(明大・戸塚俊美監督)

「ビデオ判定に関しては、監督しかお願いできないということになると、ベンチから見ている私は節穴でございます。非常にそういう意味では不安なので、あまり使うことはないかなと思っております。DH制については、選手が多様に起用できるので、私自身は歓迎しております」(法大・大島公一監督)

「ビデオ判定につきましては引き続き、審判員の方をリスペクトしておりますので、信じております。DH制につきましては、野手の出場機会が増えること、投手は投球に専念できるということで、ありがたく受け入れさせていただきます」(立大・木村泰雄監督)

「ビデオ判定に関しましては、学生野球として、導入の趣旨をよく理解した上で、チームとして、しっかりと向き合っていきたいと思います。DH制に関してはまだ、来年以降の話ですので、考える余裕がないので、今年に専念したいと思います」(慶大・堀井哲也監督)

「ビデオ判定については時代の流れと言いますか、カメラの性能もだんだん良くなっているんでしょうから、やれるのであれば、やったほうがいいと思います。試合を左右するようなワンプレーがあれば使っていきたいなと思っています。あまりないんですけど(苦笑)。DH制については、総論としては、時代の流れで、特に野手の出る機会が増えるし、投手が打席に立って死球を受けるリスクもなくなるので、良いことだと思います。ただ、われわれにとっては、相手投手が打者だと『一服できた』ところが、それがなくなるものですから、なかなか厳しい展開になるのではないかと思っております」(東大・大久保裕監督)

 2つのルール変更で、野球がどう変わっていくのか、注目である。

文=岡本朋祐

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