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【大学野球】開幕戦で神宮スタメンデビューを果たした2人の法大新人 チームを活気づける若い力

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「1年生ながら引っ張っていく気持ち」


境は大阪桐蔭高3年時、侍ジャパン高校日本代表でプレー。持ち前の打撃センスを1年春、神宮デビュー戦で披露した[写真=矢野寿明]


【4月19日】東京六大学リーグ戦
立大2X-1法大(立大1勝)

 今年2月、法大の練習に合流した1年生・境亮陽(大阪桐蔭高)は、4年間の目標を「通算100安打」と語った。東京六大学100年の歴史で過去34人しかおらず「超一流打者の証し」と言われている。

 立大との開幕カード。境は二番・右翼で先発出場すると、5打数4安打と圧巻の神宮デビューを飾った。3方向に打ち分ける、バットコントロールの良さを見せつけている。

「多少の緊張はありましたが、出るからには思い切ってやろう!! と思っていました。アナリストから対戦投手のデータをいただいていたので、それを基に準備し、練習でもゲームをイメージして打ち込んできました。その成果が出たと思います」

 試合は1対1の9回裏にサヨナラ負け(1対2)。境は「すべてが完璧な当たりではなかった。まだ、改善の余地はある」と、チームの勝利に貢献できなかっただけに、喜びも控え気味だった。昨秋は熊谷陸(2年・花巻東高)が打率.471で1992年春の早大・大森篤以来、32年ぶりの1年生首位打者に輝いた。境も連続での偉業が期待される。

広陵高で2年春から4季連続で甲子園に出場した法大の捕手・只石は、神宮でも落ち着いたプレーを見せた[写真=矢野寿明]


「個人的な目標は打率3割を目指している。チームの勝利が最優先であり、そのために1打席1打席を積み重ねていきたいです」

 春のオープニングゲームでもう一人、1年生が先発に名を連ねた。七番・捕手で起用された只石貫太(広陵高)である。境と同様、有言実行のスーパールーキーである。2月の合流時のコメントは、インパクト十分だった。

「昨年の4年生の先輩方が、4年間、優勝経験をしないまま卒業されました。今年の4年生以下は『どうにかしないといけない』と、チームを変えている。下級生は上級生についていくだけではなく、1年生ながら引っ張っていく気持ち。先輩方の姿勢を引き継ぎ、さらにいい伝統をつないでいきたい。『勝てる法政大学』をつくりたいと思います。伝統ある大学で、五大学を相手に負けられない。1年から試合に出て、リーグ優勝を目指す」

 只石は9イニングでマスクをかぶったものの、引き分け目前の9回裏にサヨナラ負け。ほろ苦いリーグ戦初戦となった。

「先輩投手にリードされながら成長もできますが、勝ちにはつながらない。捕手である、自分がリードできるようにしていきたい」

 只石は2年春から3年夏まで4季連続甲子園出場。高尾響(トヨタ自動車)とバッテリーを組み、聖地で計10試合を経験した。百戦錬磨の司令塔だが、試合後、インタビュールームに入り、着席すると、大きな深呼吸をした。甲子園と神宮。疲労の違いについて聞いた。

「まったく重みが違う。ゲームを通じて感じました。法政大学で歴史を感じながらプレーするのは、1年生としても重圧はありますが、それに打ち勝っていって、チームを勝たせられるような存在になりたいです」

 2020年春以来の天皇杯奪還を狙う法大。ここ数年は低迷が続いており、名門復活へは新たな血を入れ、さらには、その勢いも必要と言える。法大は6人の1年生がベンチ入りした。若い力がチームを活気づけ、結果的に組織力を高めていくことになる。負けから得た財産を胸に、次戦以降につなげていく。

文=岡本朋祐

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