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【大学野球】話題の“魚雷バット” 東京六大学“実戦使用第1号”は早大・小澤周平

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スイングスピードが上がる感覚


トルピードバット[下]と通常のバット。形状は明らかに異なる[写真=矢野寿明]


【4月26日】東京六大学リーグ戦
早大11-0法大(早大1勝)

 早大の主将・小澤周平(4年・健大高崎高)は東大との開幕カード2試合で10打数3安打。1回戦で無安打、2回戦で3安打と立て直してきたが、本人としては、打撃の内容に満足していなかった。誰もが味わうキャプテンナンバー「10」を背負う重圧なのか……。

「打てる気がしない(苦笑)。調子が悪いので、何か変えてみようと思いました」

 打開策として出たのは、トルピードバット(魚雷バット)だった。バットの先端が細く、芯から根本にかけて太くなっている特殊な形状。MLBで話題になり、NPBでも使用する選手が出ており、アマチュア球界の現場にも入ってきた。早大にはチームとしての試作用として数本あり、各選手が練習で振ってきた。小澤個人が使う魚雷バットは、試合2日前に手元に届いたという。通常は84センチの880グラムだが、新モデルの重量は同様も85センチ。急ピッチで順応してきた。

「打撃練習は何回かしてきましたが、シート打撃は見逃し三振だったので、実戦で振るのは今日が初めてでした」。6対0で迎えた7回表の第4打席で、貴重な追加点となる左二塁打を放った。早大は10安打と打線がつながり、11対0の快勝で、法大に先勝している。

早大・小澤は魚雷バットを使用した第4打席で適時二塁打を放った[写真=矢野寿明]


 小澤は魚雷バットを使用した感想を語った。

「芯が下のほうにあるので、振り抜きやすい。スイングスピードが上がっているような感覚がある。金森(金森栄治)助監督からの指導でボールを引き付けて打ち、それがマッチしている。ただ、アウトコースへの対応はバットの先になるので、デメリットもある。自分は(2回戦以降も)使っていきたいと思います」

 東京六大学リーグ実戦使用第1号である。小澤は冗談交じりに「自分は使いたいと思っていた。狙いに行ったところはあったので、名を残せてうれしい」と、笑顔で振り返った。

 ある球界関係者は明かす。

「今、話題になっていますが、実は昔から魚雷バットはあったんです。かつて1980年代のプロ野球ではクロマティ(元巨人)、90年代以降はカブレラ(元西武ほか)、ローズ(元横浜ほか)も使っていたと聞いています。日本人では福本豊さん(元阪急)、大石大二郎さん(元近鉄)、藤原満さん(元南海)も。打者としてのタイプは異なりますが、いかに使いこなせるか。いかに、とらえられるかにかかってきます」

 あくまでも、バットと合致するかは、本人次第。早大の中でも、感覚が適さない選手もいるという。果たして魚雷バットが学生野球界にどこまで浸透するのか、注目である。

文=岡本朋祐

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