週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

まさかの三軍降格…ドラフト1位入団の「巨人の宝」は苦境からはい上がれるか

  0

イースタンで結果を残せず


今年で高卒3年目を迎えた浅野


 巨人が崖っぷちから試合をひっくり返した。4月29日の広島戦(東京ドーム)。1点を追う9回二死一塁で、若林楽人の打球は三塁に力なく転がるゴロとなったが、小園海斗が一塁に悪送球。ボールがファウルグラウンドを転がっている間に、一塁走者の代走・増田大輝が本塁生還して同点に追いついた。さらに、延長12回一死二、三塁の好機で、甲斐拓也が勝負を決める中犠飛。開幕戦以来2度目のサヨナラ勝ちで2位に浮上した。

 投打ががっちりかみ合っているとは言えない。最近5試合で計11得点と打線がつながりを欠き、投手に負担がかかる試合が続いている。丸佳浩が開幕前に「右大腿二頭筋筋損傷」で戦列を離れ、坂本勇人、エリエ・ヘルナンデスも打撃不振でファーム調整と想定外の事態に。若手の台頭が待ち望まれる中、驚きのニュースが駆け巡った。ファームで精彩を欠いていた浅野翔吾が4月下旬に三軍降格。一軍を経験した支配下の選手が三軍落ちを通達されるのは異例だ。

 結果を考えれば仕方ないだろう。プロ3年目の今年はオープン戦で打率.222、0本塁打、2打点とアピールできなかった。ストライクゾーンの甘い球を見逃し、ボール球に手を出して凡打に倒れる。初球から振りにいく思い切りの良さが消え、打席で迷いが感じられた。開幕直前にファーム降格したが、復調の気配が見られない。イースタン・リーグで20試合出場し、44打数4安打で打率.091、0本塁打、6打点。このままファームでプレーするのは浅野にとってプラスにならないと首脳陣は判断したのだろう。三軍降格を決断した。

 高松商高で高校通算64本塁打をマークし、高校生離れしたミート能力で広角に長打を打ち分けていた。力強さと柔らかさを兼ね備えた「高校No.1野手」はドラフト1位で入団すると、高卒1年目の2023年に15年の岡本和真以来8年ぶり球団史上7人目のプロ初アーチを放った。昨年は前半戦の大半をファームで過ごしたが、8月にヘルナンデスが左手首骨折で離脱に伴い、一軍に昇格。このチャンスに奮起する。8月14日の阪神戦(東京ドーム)で満塁アーチを放つなど、94年の松井秀喜以来となる10代で月間3度の殊勲弾を記録。40試合出場で打率.240、3本塁打と存在感を見せ、4年ぶりのリーグ優勝に貢献した。

4年目に大ブレークの四番


 今年は春先から一軍定着を目指したが、極度の打撃不振でまさかの三軍降格に。ただ、先輩たちもプロの壁を乗り越えてきた。不動の四番・岡本は高卒3年目の17年は15試合出場で打率.194、0本塁打、2打点と不本意な成績に終わったが、翌18年に大ブレーク。開幕からスタメンに抜擢されて、6月以降は四番に座り、史上最年少の22歳で打率3割、30本塁打、100打点をマークした。当時の指揮官だった高橋由伸元監督は週刊ベースボールのインタビューで以下のように振り返っていた。

4年目の2018年にブレークした岡本和


「監督1年目の16年は結局、岡本は一軍では3試合の出場に終わっています。ただ、二軍では94安打、18本塁打で74打点を挙げており、フレッシュオールスターとファーム日本選手権でMVPを獲得していました。ファームからは逐一報告も受けていましたが、当時はファーストに阿部、サードに村田修一(現DeNA二軍コーチ)がいたので、いくら2人がベテランになり、力が落ちてきていたとしても、彼らを押しのけてまで出る力はまだない。だからといって、ベンチに置いておいても仕方がありません。ただ、二軍で実績を残したことで、一軍には上げたい。葛藤ですよね。そこで、彼に打席を与えるために、何か策はないかと考えた末に、レフトを守らせることにしました。守備はどれだけできるか分かりませんでしたが、とにかく彼の場合は打席に立ってなんぼだろう、と」

「我々は結果に対しては助けてあげられませんが、チャンスに関しては用意をしてあげられる。17年の開幕は先発レフトで出ていますからね。結果的に、この年も35試合の出場にとどまるのですが、外野挑戦はのちのち、彼にとっては大きなプラスとなったと思います。だって、四番打者が3つポジション(ファースト、サード、レフト)を守れるんですから。ほかの選手を使いたいときに、四番を動かせるんですよ。これはなかなかないこと。今はサードで固定のようですが、いざという場合のオプションがあるのは、大きな強みです」

 順風満帆な歩みではなかったが、一塁、三塁、左翼と3つのポジションを守れることが現在では岡本の大きな強みになっている。浅野もこの苦境を乗り越えられるか。一軍で光り輝く姿をファンは待ち望んでいる。

写真=BBM

この記事はいかがでしたか?

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント 0

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング