開幕から無失点投球

開幕から安定した投球を続ける山崎
2位争いから抜け出したい
巨人。その中で申し分ない活躍を見せているのが、
山崎伊織だ。16試合登板で8勝2敗、防御率1.07。夏場以降も安定した投球を続ければ、投手タイトルを総ナメにする可能性が出てきた。
2023年から2年連続10勝をマークした右腕だが、今年はオープン戦で不安定な投球が続き、先発ローテーション入りが確約されたわけではなかった。当落線上から最後の切符をつかみ、今季初先発となった4月2日の
中日戦(バンテリン)からスコアボードにゼロを並べる。その後も好投を続け、6試合目の登板となった5月7日の
阪神戦(東京ドーム)の初回まで開幕から36イニング連続無失点。歴代3位のセ・リーグ記録を樹立した。プロ野球記録は1939年の1リーグ時代に
高橋敏(阪急)の38回1/3、2位は21年の
平良海馬(
西武)の38回で、先発登板に限ると山崎が歴代1位になる。
記録が途切れた後も安定した投球を続ける。阪神に同一カード3連敗を喫し、回ってきた7月4日の
広島戦(東京ドーム)では、8回3安打10奪三振無失点の快投で8勝目をマーク。同月19日の首位・阪神戦(甲子園)では7回4安打無失点の力投を見せた。同学年で兵庫県出身の同郷と共通点が多い相手右腕・
村上頌樹との緊迫感あふれる投手戦で、一歩も引かない。7回一死満塁のピンチでは
高寺望夢を内角高めの149キロ直球で空振り三振、
糸原健斗も3ボールからフルカウントに整えて最後は144キロのフォークで見逃し三振。無失点に切り抜けて雄叫びを上げた。
フォークの精度が上がって
好調の一因として、フォークの精度が上がり、投球の幅が広がったことが大きい。山崎は週刊ベースボールのインタビューでこう語っている。
「開幕してからよりも、開幕前に二軍で投げたときですね(3月26日のイースタン・オイシックス戦、Gタウン)。なかなか調子が上がらない中で、赤星(優志)か僕のどちらかが開幕先発ローテに入るということで、(
阿部慎之助)監督が見に来てくださったんです。試合前には僕の先発ローテ入りを決めてくださっていたらしいんですけど、そのとき監督から『落ちるボールがもうちょっと良くならないとしんどいんじゃない』と言っていただいたので。そこじゃないですかね、ターニングポイントは」
「昨年の12月くらいからフォークは握りの意識も含めて頑張って取り組んでいたんですけど。自分でも『いいな』と思っていた時期もありますし、長く取り組んできたものを変える、いったん置いておいて新しいものに変えるって難しいじゃないですか。それでも監督にそう言っていただいたんで、スッと変える方向に持っていくことができました」
イメージを具現化する能力
山崎の強みは、イメージを具現化する投球技術が高いことだろう。
「意識としてはもう少し真っすぐに近く、スピードを上げて、その上でゾーンに乗せるボールと、意識して低く投げることで空振りを取れるボールとを投げ分けるようにしました。スピードを上げることでゾーンに投げるのも怖くなくなりましたし、スピードが上がった分、バッターの反応も良くなりました。監督からは『もうちょっとシュート気味に落としてみたら』とか『小さく落としたら』という話はしてもらったんですけど、キャッチャー出身の方ですし、握りや投げ方については任せてくれました。そこで内海さん(
内海哲也一軍投手コーチ)に練習中、『監督にフォークをちょっと変えたらと言われたんです」と相談をしたところ、『スプリットは投げへんの』と言われて。自分で言うのもあれなんですけど、変化球を投げるのは得意なんで、『ちょっと投げてみます』という感じで投げたボールが良かったので、それをそのまま試合でも投げているという感じです』
首位・阪神に大差をつけられ、負けられない試合が続く。真のエースへ。ここから真価が問われる。
写真=BBM