評価できる投球内容

先発、リリーフのどちらにも対応できる右腕だ
CSファーストステージの
日本ハム戦。
オリックス・
山岡泰輔は2戦目にベンチ入りメンバーから外れ、終戦の時を迎えた。プロ9年目のシーズンを終えたが、国内FA権を行使するか注目されている。
今年は救援で自己最多の41試合に登板して5勝3敗13ホールド、防御率4.25。集中打を浴びて大量失点を喫した試合が複数回あったため防御率が悪化したが、33試合を無失点に抑えて投球内容は評価できる点が多かった。
山岡はマウンド上で常に冷静なイメージがある。週刊ベースボールのインタビューでその点について聞かれると、複雑な胸中を明かしている。
「う〜ん……そうかもしれないですけど、アドレナリンが出ないと抑えられないことが課題とも思っていて。やっぱりピンチの場面、得点圏にランナーがいる場面で出るアドレナリンが、常に出るわけではなくて。そういうアドレナリンが出ていないときに、点を取られがち。頭の中で、いろいろ考えてしまって……。それはマモさん(
岸田護監督)にも話したんですよ。『僕の課題です』と。『点差とかではなく、自分が出ればお客さんが沸いてくれる。そういう空気をつくることができるから、お客さんを楽しませるという気持ちだけで投げてくれればいい』と言っていただきました。本当にそのとおりだなって」
「どう考えても3点差以上とか、負けている場面での防御率が悪くて、2点差未満・同点以上はあまり点を取られていない。その差をなくすのは、マモさんの言う気持ちが一番大事。そもそもアドレナリンをコントロールすることってできないんですよね。だからすごく腑に落ちたというか、見に来てくれたお客さんのために、と考えればいいと、あらためて思えたんです」
リーグ3連覇の原動力に
フォア・ザ・チームの精神が強い右腕だ。ドラフト1位で入団すると、新人年から3年連続で規定投球回をクリア。19年は初の開幕投手を務めて13勝4敗で勝率第一位のタイトルを獲得した。23年の後半戦からは救援に配置転換され、31試合登板で2勝1敗3セーブ8ホールド、防御率2.30をマーク。リーグ3連覇の原動力となった。
先発、救援と様々な役割でチームに貢献してきた。今年は5月15日に国内FA権を取得。推定年俸6800万円で金銭、人的補償が発生しないCランクであることから、権利を行使すれば複数球団が獲得に動く可能性がある。23年オフにチームメートの
山崎福也(現日本ハム)がFA権を行使した際は、慰留に努めたオリックスを含めて6球団の争奪戦に。山崎は実力を評価されたのはもちろんだが、Cランクだったことが他球団の人気を集めた大きな理由だった。
ファンからの大歓声
先発のコマ不足に悩む球団は、山岡をリリーバーでなく先発として評価していることが考えられるが、その期待に応えられる力は十分に備わっている。もちろん、オリックス残留も選択肢の一つだ。ファンサービスに熱心なことで知られる右腕はファンから絶大な人気を誇る。救援で登板されて名前が
コールされた際は、大歓声が。その後押しがマウンド上で大きな力になった。
「温かく迎えてもらえているなって。本当にうれしいですし、確かに自分でも思うんです。空気が変わったなって。(ほっともっと)神戸だとブルペンが外にあるので、球場の空気を感じながら準備していますし、京セラ(ドーム)でも試合は画面越しにチェックしているので、嫌なムードが一回リセットされるような感じを受けるんです」
チームは21年からリーグ3連覇を飾ったが、昨年は5位に終わり、今年は3位と優勝争いに絡めなかった。来年は気心知れた仲間たちとV奪回を目指すことを考える一方で、一人の野球人として他球団にどのような評価をされているか聞きたい気持ちもあるだろう。オリックス残留か、新天地へ移籍か。熟考の末に、どのような決断を下すか注目される。
写真=BBM