10年ぶりの一軍登板なし

巨人から戦力外通告を受けた今村
プロ14年目左腕・
今村信貴が巨人を去る。今季はイースタン・リーグで41試合登板して4勝1敗3セーブ、防御率1.91をマークしたが、一軍登板なし。来季の戦力構想から外れた。
太成学院高からドラフト2位で入団。将来の左腕エースとして期待されたが、殻をなかなか破れなかった。大きな転機は2022年だった。救援に配置転換されると、55試合登板で2勝4敗21ホールド、防御率3.57をマーク。「勝利の方程式」で稼働し、「対左打者で行くことが多いので、そこをもっと圧倒的に抑えられるようになれば、もう一段上に行けると思っています」と表情を引き締めていた。
だが、その後は思い描いた活躍をできなかった。23年は24試合、昨年は7試合登板にとどまった。今年は同じ左腕リリーバーの
中川皓太がチーム最多の63試合登板と復活し、
DeNAから移籍した
石川達也も41試合登板で防御率2.14と活躍したことから、ファームで好投を続けてもなかなか一軍から声が掛からなかった。15年以来10年ぶりの一軍登板なしに終わり、他球団で現役続行を模索することになった。先発、救援でロングリリーフと起用法の幅が広いことは強みになる。他球団の投手コーチは、「戦力として十分に計算できる。31歳はまだまだベテランの域にも入っていないと思いますし、復活の可能性は十分にあります」と高い評価を口にする。
「野球を楽しむことができた」

巨人、DeNA、楽天[写真]と3球団でプレーした久保
戦力外で退団することは、大きな試練だ。だが、この壁を乗り越えて他球団でプレーすることは野球人生の大きな財産になる。巨人、DeNA、楽天の3球団を渡り歩き、通算506試合登板で54勝37敗37セーブ113ホールド、防御率3.45をマークした
久保裕也(現楽天投手コーチ)もその一人だ。巨人、DeNAで2度の戦力外通告を受けたが、楽天で40歳のシーズンまでプレーした。自身の野球人生について、週刊ベースボールのインタビューで振り返っている。
「できたら戦力外というのは経験せずに引退までいけるのが選手としては幸せなことなのかもしれないですけど、そういう経験もさせてもらえましたし、だからこそ野球を楽しむこともできた。精神的なところですごく大きな戦力外だったのではないかなと思います」
「うーん、よく頑張ったとは思います。一度はホントに……どん底、という言い方が合っているかは分からないのですが、そこからまたはい上がれましたから。11年オフには股関節を手術し、開幕に間に合わせたくて少し無理をして、結果的にヒジも手術する羽目になり、また1年を棒に振ることになって。股関節がなかなか思うように戻らず、ある程度パフォーマンスが発揮できるようになるまでに4年、完全に痛みがなくなるまでに5年はかかったので、そこからまた盛り返せたのはすごく自信になったところもあります。あきらめなければうまくいくことも絶対にあると思うので、そこは僕にとってすごく大きな経験だったし、今となったら大きな財産だと思います」
3球団目で存在感発揮

中日で欠かせない戦力となっている山本
今村と巨人時代のかつてのチームメートで、同学年の
山本泰寛(中日)も巨人、
阪神で金銭トレード、戦力外通告を経験したが、3球団目となった中日で存在感を発揮している。
今年は遊撃、二塁、三塁と3つのポジションを守り、112試合出場で打率.242、4本塁打、23打点をマーク。4本塁打のうち3本が東京ドームで、通算でも10本のうち6本を占めている。「得意か不得意かで言われたら、得意なのかな。バンテリンよりは狭いので……。でもたまたまです。僕が(巨人に)入団したときにいた選手もまだプレーしている。負けないぞという思いでやっています」と語っていた。
今村も他球団で活躍することが、育ててもらった巨人への恩返しになる。肩、肘に大きな故障がなく、コンディションに問題はない。獲得する球団があることを信じ、トレーニングを続ける。
写真=BBM