洞察力も大きな強み

ケガで途中離脱したが、来日1年目に好成績を挙げたデュプランティエ
阪神のV奪回に貢献したジョン・デュプランティエが、11月2日に自身のインスタグラムを更新した内容が大きな反響を呼んでいる。
アメリカに帰国の途に就いた助っ人右腕は「外国人として始まった1年でしたが、シーズンを終えると家族になっていました。優勝に貢献する機会を与えてくれた阪神タイガースに心から感謝しています。この1年は間違いなく私の人生で最高の年の一つです。このチームの一員になれたことを心から幸運に思います。私の故郷から遠く離れていますが、みんなのおかげで大阪がまるで故郷のようでした」と感謝の思いを綴った。文末には日本語で「ぼちぼちいこうか」のメッセージが。阪神ファンから「来年もタイガースでプレーしてほしい」と残留を求めるコメントが殺到する事態になっている。
メジャーでは通算19試合で1勝4敗1セーブ、防御率6.70。制球力が課題と言われて下積み時代が長かったが、阪神に加入して見せたパフォーマンスは目を見張るものがあった。特徴的なテークバックから繰り出される直球は常時150キロを超え、鋭く曲がるナックルカーブ、落差の大きいチェンジアップを武器に三振の山を築いた。力でねじ伏せるだけでなく、「自分たちが三振を取りにくるなと思わせたときは、そこを利用してゴロを打たせる。でも積極的にストライクを取りにいくのは変わらない」と相手打者の狙いを見極める洞察力も大きな強みだった。
日本の生活に溶け込む姿勢

6月19日のロッテ戦では来日初完封をマークした
6月19日のロッテ戦(甲子園)で12三振を奪って来日初の完封勝利を飾るなど、3勝0敗、防御率1.01で6月の月間MVPを受賞。バッテリーを組んだ
坂本誠志郎に「配球の天才」と絶大な信頼を置き、「一緒に登板をつくり上げることができ、彼のおかげで自分の思ったような投球をすることができました」と感謝の思いを口にしていた。
移籍1年目から異国の地で成功した理由は、日本の生活や文化に溶け込もうとした姿勢が大きい。覚えた日本語でナインと積極的にコミュニケーションを取り、グラブには平仮名で「でゅぷらんてぃえ」の刺繍が。7月下旬には「先発会」を主催。助っ人選手では異例の行動だった。乾杯の音頭をとったデュプランティエは「初日から外国人選手としてではなく、一選手としてチームに迎え入れてくれてありがとう」と感謝を伝えた。現役時代に様々な性格の助っ人とチームメートになり、メジャーでのプレーを経験した
藤川球児監督はデュプランティエが活躍した理由について、「日本の文化になじもうとするところですね。そこが一番、野球においても結果につながっていると思います」と評価していた。
野球人生の分岐点
8月中旬に下肢のコンディション不良で戦列を離れたが、
ソフトバンクと対戦した日本シリーズ第2戦で先発に抜擢されたのは指揮官の信頼の表れだろう。制球が定まらず2回途中で7失点KOと悔しい結果に終わったが、リーグ優勝の立役者になった功績は色褪せない。15試合の先発登板で6勝3敗、防御率1.39。90回2/3イニングにとどまったが113奪三振で、奪三振率11.22は驚異的な数字だ。
シーズンを通じてコンディションを整えられれば、投手タイトルを総ナメにしても不思議ではない能力を持っている。気になるのは今後の去就だ。国内他球団に移籍のほか、メジャーに復帰する可能性も考えられる。メジャーを取材するスポーツ紙記者は「NPBで結果を出して、メジャー球団から高評価を得て復帰する助っ人外国人が近年増えています。マネーゲームになると、日本の球団は太刀打ちできない。デュプランティエは31歳と若くない。日本でキャリアの最後まで過ごすか、もう一度メジャーに再挑戦するか。野球人生の分岐点を迎えています」と指摘する。
阪神ファンに愛された右腕は来年どの球団のユニフォームを着て、マウンドに立っているだろうか。
写真=BBM