悔しさを晴らすために

今季はわずか1本塁打と不本意な成績に終わった石川
中日・
石川昂弥が高知で行われている秋季キャンプで、バットを振り込んでいる。今年の悔しさを晴らすためには結果を出すしかない。
地元の東邦高からドラフト1位で入団。ファンから大きな人気を集めるのは宿命と言える。首脳陣の期待も大きい。プロ6年目の今季は
井上一樹監督が開幕戦から四番に抜擢。
細川成也という強打者を押しのける形で起用されたことが、話題となった。
春季キャンプ、オープン戦を通じて取り組んできたことを週刊ベースボールのインタビューで聞かれ、「一番はしっかりと『強く振る』ということ。四番を打つバッターとして期待されている以上、当てにいくバッティングをしていては……というところもありますから。どっちかと言うと、そういうこと(当ててしまう)が多いバッターでもあるので、そういうことがないように、もっと四番らしく打つという意味でも、しっかりと『強く振る』ということを松中さん(
松中信彦打撃統括コーチ)とやっていこうと取り組んできました」と語っていた。
長打力が魅力だが、体勢を崩されてもミートできることが長所でもある。この点については、「もともとそういうのができてしまうタイプのバッターではあって、それは自分の良さでもあるとは思います。周りの野球解説者の方からも、それはよく言われていることですが、四番を任せてもらう以上、やはり『強く振る』ことをやっていかないといけないですから」と強調していた。
結果を残せなかった現実
だが、現実は厳しかった。快音を響かせられず、ストライクゾーンの球に手が出ない。チームの中心である四番が打たなければ、批判の矛先が向けられる。「もちろん期待の大きさは感じていますし、声援を受けているという実感もあります。チームで四番という打順を打たせてもらっていますから、そういう意味でも期待されているのだと思いますし、その期待に何とか結果で応えたいなと思っています」と意気込んでいたが、打席で迷いが生じているようにも感じられた。
開幕から13試合で打率.160、0本塁打、3打点。四番を剥奪されて4月12日にファームに降格した。5月31日に再昇格したが、18打数1安打と結果を残せず6月17日に再びファームへ。打撃フォームの修正に取り組み、一軍昇格した9月3日の
阪神戦(バンテリン)で1号左越えソロを放ったが、翌4日に左脇腹痛を発症。22試合に出場して打率.139、1本塁打、5打点でシーズンを終えた。
殻を破れない。2022年7月に受けた左膝前十字靱帯の再建術からの復帰から復帰した23年はチーム最多となる85試合で四番を託され、自己最多の121試合に出場。自身初の規定打席に到達し、打率.242、13本塁打、45打点をマークした。昨年は82試合で打率.272、4本塁打、25打点。打率は前年より上がったが、本塁打と打点が下回り物足りなさが残った。今季は大きな覚悟で臨んだだけに、結果を出せなかった現実を誰よりも重く受けているだろう。
理想は「勝負強いバッター」

石川が理想の四番打者に挙げる鈴木。広島時代は6年連続で打率3割、25本塁打以上をマーク
来年に25歳を迎え、期待を込めて起用される立場ではなくなっている。三塁の定位置争いは
福永裕基、
高橋周平のほか、若手成長株の森駿太がライバルに。実戦で結果を出さなければ一軍のメンバー入りすら保証されていない。
石川は理想の四番像について「みんながなかなか打てないときの一本だったり、ここぞのチャンスでの一本だったり、やはり勝負強いバッターだと思います」と語り、「(理想の四番打者は)
鈴木誠也(カブス)さん。しっかりと率を残せて、ホームランも打てて、何でもできます。それこそ勝負強いバッターですから」と語っている。
カブスの主砲として今季32本塁打をマークした鈴木は広島時代に2度の首位打者を獲得するなど、打率3割、25本塁打以上を6年連続記録。
王貞治、
落合博満に次ぐ史上3人目の快挙を達成している。
ドラフト1位で3球団が競合した石川も球界を背負う強打者として、将来を嘱望されてきた。このまま終わるわけにはいかない。
写真=BBM