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【社会人野球】2025年度社会人表彰 Honda鈴鹿・畔上翔が入社10年目でタイトルを獲得できた3つの理由

 

日大三高では全国制覇


Honda鈴鹿・畔上は左の強打者。日大三高、法大とエリート街道を歩み、社会人10年目でベストナイン、最多本塁打賞に輝いた[写真=川口洋邦]


 2025年度社会人野球表彰が12月10日、東京都内のホテルで行われた。

 Honda鈴鹿の10年目・畔上翔(法大)は指名打者部門のベストナインと、最多本塁打賞(6本塁打)を受賞した。

 4月のJABA京都大会で3本塁打を放つと、優勝に貢献した5月のJABAベーブルース杯でも2本塁打を放ち、存在感を見せた。また、ヤマハとの社会人日本選手権準々決勝でも右越え本塁打と、チームの8強進出に貢献した。

「今年はコーチ兼任という立場で1年間プレーさせていただきました。そんな中、このような素晴らしい賞をいただき、誠にうれしく思います。入社して以来、ベストナイン、打撃部門の賞を取ることを目標にしてきたので、大変うれしく思っております。来年もチームが苦しい時に一振りで雰囲気を変える打者になっていきたい。来年度も選手として、また、コーチとして頑張っていきます。このような素晴らしい場に、Honda鈴鹿の後輩たちがたくさん呼ばれるように指導、また、ともに練習していき、頑張っていきたいと思います」

 日大三高では主将として2011年夏の甲子園で10年ぶり2度目の全国制覇。法大でも主将を務め、16年にHonda鈴鹿に入社した。今夏の都市対抗では、10年連続表彰を受けた。

走れなくなったら終わり


 今季からコーチ兼任となった。なぜ、この節目の10年目で初タイトルを獲得できたのか。3つの理由がある。

 まずは、危機感である。「数字を残さないとクビになる」。毎年、有望選手が入社してくるため、チーム内競争が激しい。野球部における部員の「選手枠」は決まっており、新たなメンバーが加入する一方で、同じ数のユニフォームを脱ぐ選手が出てくるシビアな世界だ。

「コーチ兼任なんですが、難しくは考えずに、あくまでも選手主体の調整に専念でき、むしろ、練習量は増えました。4月末のJABA京都大会から本格的に実戦に入っていくように言われ、配慮してくれたことに感謝したいです」

 2つ目は発奮材料があった。3月のJABA東京スポニチ大会でのエピソードを語る。

「試合の合間にENEOS・大久保さん(秀昭、チームディレクター)と会うと『まだ、やっていたのか』と声をかけていただいたんです。もともと自分はENEOSの野球を見るのが好きで、大久保さんは大学時代からお世話になっていた東京六大学の先輩です(畔上が法大4年時に大久保氏は慶大監督就任)。激励をされてうれしかった反面、『まだ、やっていたのか』と言われるほどの成績しか残していないんだな、と。そこで、火がつきました。それがすべてです」

 3つ目は内容の濃い練習である。

「今年5月で32歳ですが、フィジカルは衰えていません。ランニングの量を増やしました。根拠はありませんが、走れなくなったら終わりだと思っているんです。ただ、若い人と同じメニューをこなすのは難しい面もあり、そこはプラスアルファで日々、摂取するものを考えたり、睡眠時間を増やすなどして、コンディションの調整は工夫してきました。生活のすべてを、野球につなげてきたんです」

 究極の負けず嫌いであり、この日、ベストナイン表彰を受けた王子の捕手・細川勝平(中部大)、首位打者賞の日本新薬・浜田竜之祐(専大)は同じ1993年生まれ。「同級生には全員、負けられない」と闘志を燃やす。日大三高の同期メンバーで現役を続けているのは、畔上と高山俊(オイシックス新潟)のみである。

「チームが必要とされるうちはプレーしたい。ただ、こればかりは自分では決められないことですから……」

 1年1年が勝負。抜群のリーダーシップがあり、将来的な指導者への道を聞いたが「考えていません」と即答。2026年もコーチ兼任ながらも、一選手として勝負する。背中を見せることが、チーム力アップにつながる。社会人11年目へ、早くも戦闘モードに入っていた。

取材・文=岡本朋祐
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