長野以来の2季連続首位打者

キャンプで躍動しているドラフト2位・谷端
セ・リーグ覇者・
阪神の春季キャンプで、パフォーマンスが際立つ新戦力がいる。ドラフト2位で加入した
谷端将伍だ。大先輩たちとともにプレーしても物怖じしない。
中野拓夢と入った二塁では軽快な守備を見せ、
佐藤輝明と同じ組で行ったキャンプ初日のフリー打撃から広角に快音を連発。他球団のスコアラーは「阪神で一番印象的に残っているのが谷端。下半身がどっしりしていて変化球に対して体の軸がブレない。確実性が高く、甘く入ったら長打を飛ばす打撃は、
牧秀悟(
DeNA)と重なります」と警戒を口にした。
昨秋のドラフトでは「大学No.1スラッガー」と評され、3球団が競合した
立石正広に注目が集まったが、新人合同自主トレで右脚の肉離れで出遅れたため春季キャンプは二軍スタートに。だが、谷端も1位で指名されて遜色ない逸材だ。日大で3年春に打率.327、3年秋に打率.417と2季連続首位打者を獲得。東都一部リーグで2季連続首位打者は大学の先輩・
長野久義(元
巨人)が2006年に達成して以来の快挙で、「尊敬する先輩に並ぶことができてうれしいです。自分も長野さんのような勝負強い打者になりたい。これからもっとレベルアップして、長野さんに追いつけるよう頑張ります」と語っていた。4年春は打撃不振に陥りチームも2部降格の試練を味わったが、阪神のスカウトの高評価は揺らがなかった。大学ラストシーズンとなった秋は打撃が復調し、2位指名を勝ち取った。
大学2年秋に三塁の定位置をつかんだが、順風満帆だったわけではない。「2年の春にケガをして、復帰したところでなかなか結果が出なくて、BチームどころかCチームにいることもあった。でもそこで腐らず、何を周りから言われようと自分のことだけ信じて、練習の質や量を見直して取り組んだことが、秋の結果につながったと思っています」。日大の片岡昭吾監督は「課題を自ら見つけて、練習に継続して取り組めたことで、今のような選手になれたと思う」と谷端の野球に向き合う姿勢を高く評価する。
六番以降が課題の阪神打線
昨年は圧倒的な強さでセ・リーグを制した阪神だが、日本シリーズでは
ソフトバンクに1勝4敗で敗れ、シーズンでは見えなかったウイークポイントが浮き彫りになった。一番・
近本光司、二番・中野、三番・
森下翔太、四番・佐藤輝、五番・
大山悠輔と不動のメンバーで固まっているが、六番以降は打力が落ちる。特にポイントゲッターの役割を担う六番は重要だ。シーズン中は
前川右京、
小幡竜平、
ラモン・ヘルナンデス、
高寺望夢などが起用されたが、最後まで固定できなかった。
藤川球児監督は主力を固定するポジションと、競争枠のポジションを分けている。昨年は遊撃、左翼で熾烈な定位置争いが繰り広げられ、選手たちのモチベーションは高かった。今年もこの2つの守備位置は現時点で固まっていない。左翼は前川、高寺、
中川勇斗のほか、現役ドラフトで
ヤクルトから移籍した
濱田太貴が定位置奪取を狙う。新人の立石、谷端もチャンスだ。ともに本職は内野だが、外野も守った経験がある。春季キャンプ、オープン戦でアピールを続ければ、開幕一軍が見えてくる。
目標は「開幕一軍」「新人王」
物静かな谷端が入団会見で掲げた目標が開幕一軍と新人王。「長く野球をしたいので2000本安打も目標です」と力強く宣言している。新人王を獲得するためには定位置をつかまなければいけない。同じ東都リーグ出身の森下は大卒1年目の23年に94試合出場で打率.237、10本塁打、41打点をマーク。
オリックスと対戦した日本シリーズでは新人記録を更新する7打点の活躍で38年ぶりの日本一に大きく貢献し、優秀選手賞を受賞した。その後も順調に階段を駆け上がってチームに不可欠な選手に進化。今年3月に開催されるWBCに出場する侍ジャパンのメンバーに初選出された。
プロは結果がすべての世界だ。他球団のスコアラーが打撃スタイルを重ね合わせた牧はドラフト2位から球界を代表する強打者に上り詰めた。谷端もシンデレラストーリーを切り拓き、球団史上初となるリーグ連覇の重要なピースになる。
写真=BBM