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春季キャンプREPORT

西武のドラフト1位・小島大河はなぜ「勝負強さ」をアピールポイントに挙げるのか

 

「毎日、野球ができて幸せ」


宮崎・南郷キャンプで汗を流す西武・小島。ドラフト1位捕手は日増しに存在感を高めている[写真=川口洋邦]


 プロで成功する条件。あるNPBベテランスカウトは、その一つとして「スタミナ」を上げた。基礎体力がなければ、競争のステージにも立てないという理由からである。「練習はウソをつかない」とはよく言ったものだが、時間をかけ、回数を重ねなければ、技術向上が望めないばかりか、長丁場であるレギュラーシーズン143試合を戦うことさえもできない。

 西武のドラフト1位ルーキー・小島大河はその「基準」をクリアしていると言える。宮崎・南郷での一軍キャンプは朝から晩まで、濃密なメニュー。「強打捕手」は日増しに存在感を高めている。個別練習後の夕方5時頃から話を聞くと「下半身が疲れていますね(苦笑)」と本音を漏らしながらも、その表情は、充実そのもの。学業と部活動との両立が求められた大学時代とは大きく異なり、今は野球が仕事である。「毎日、野球ができて幸せです」と言ってのけるのだから、相当な心の強さがある。

 あまりにも使い古された「気持ち」だけでは片付けたくないが、小島には最も似合う言葉だ。つまり「根性」が据わっているのだ。22歳の小島には、失礼かもしれないが「野球小僧」と呼ぶのがピッタリと言える。東海大相模高での3年間、明大における4年間の鍛錬が、現在の姿をつくり上げたと言っていいだろう。つまり、練習する上でのスタミナが基礎としてある。プロレベルに順応していくには、この上ない潜在能力を携えている。

プロとしての自覚


総合練習、個別練習を終えた後にインタビューを受ける西武・小島。22歳はプロ1年目から一軍で勝負をかける意気込みだ[写真=川口洋邦]


 西武には明大の先輩・鳥越裕介ヘッドコーチがいる。32歳差。ジェネレーションギャップを感じるのは、無理もない。「歳が離れ過ぎているから、(同じ大学の先輩・後輩という)そんな感じはしない。明治っぽくない(苦笑)。スマートですね」と印象を明かしていた。本人に伝えると、小島は「明治魂で頑張っていきたいです」と、力強く語った。大学4年間、明治で鍛え上げられた伝統の「人間力野球」は、世代を超えて染みついている。東海大相模高・門馬敬治監督(現・創志学園高監督)から学んだ「一日一生」も胸に刻まれている。一日一日を悔いのないように生き、今できることに全力を尽くしているのだ。

 最大のアピールポイントである「打てるキャッチャー」として「開幕一軍」は、小島にとっては、あくまでも通過点だ。明大時代は抱負を聞いても、やや控えめな学生だったが、西武入団後はプロとしての自覚が芽生えている。1年目からリーグ優勝、日本一に貢献した上で「打率3割」「首位打者」「新人王」を目標としていると明言した。ルーキーとしては強気な発言にも映るが、1年目から勝負していく覚悟を自ら示したのである。

「打破」に合致したスタイル


「勝負強さ」の原点は高校3年春のセンバツ甲子園にある。明豊高との決勝でサヨナラ打を放ち、10年ぶり3度目の優勝を決めている[写真=早浪章弘]


「自分の勝負強さを見ていただきたい」

 小島はライオンズファンに向けたメッセージを質問すると、こう答えてきた。

 このコメントを聞いて、小島の「原点」を思い返した。2021年春、明豊高(大分)とのセンバツ甲子園決勝である。2対2で迎えた9回裏一死満塁。打席には背番号4を着けた「三番・捕手」の小島を迎えた。2ストライクから相手バッテリーがややウエストした外角高めのストレートを強振。小島は当時「皆がつないでくれたので絶対、決めてやろうと打席に立った。追い込まれたが、次のボールは絶対打ってやろうと思っていた」と明かしている。前進守備の相手遊撃手のグラブをはじき、外野へと抜けるサヨナラ打(3対2)となった。

 東海大相模高は10年ぶり3度目の優勝を遂げた。遊撃手で主将の大塚瑠晏(東海大-日本ハム3位)が急性胃腸炎のため、準々決勝以降3試合を欠場。チームの大黒柱を欠く中で、大会直前にチーム事情で二塁手から捕手にコンバートされた小島が中心選手として、センバツ制覇に貢献したのだ。野球選手として、確固たる立場を確立する全国舞台となった。

 春夏連覇を目指した21年夏だったが、新型コロナウイルスの集団感染のため、神奈川大会準々決勝を出場辞退。戦わずして、最後の夏を終えた。無念を糧に、明大での4年間で成長を遂げてきた精神力がある。それが、小島の言う「勝負強さ」につながってくる。

 2026年シーズンのチームスローガンは「打破」。就任2年目の西口文也監督は「一人ひとりが個々の能力を高め、自分の限界を打ち破ってほしいという想いを込めました。特に野手には、打撃力の向上に努め、守り勝つ野球を継続しつつも、打撃で打ち勝てる試合を一つでも多く繰り広げてほしい」とコメント。指揮官が求めるピースに合致するのが小島と言える。19年以来のリーグV奪還を狙う西武の空気を変える新戦力から目が離せない。

取材・文=岡本朋祐
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