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「佐藤輝明に匹敵する」 他球団が打球音に衝撃を受けた「阪神の新戦力」は

 

抜群のボールを飛ばす力


ドラフト1位で阪神に入団した立石。慎重に調整を進めている


 やはり、並の新人ではない。沖縄・宜野座で行われている阪神の春季キャンプで、ドラフト1位・立石正広が初のロングティーを敢行。28スイングで19本のサク越えを放った。他球団のスコアラーは「サク越えの数字より、バットがボールに当たる音が印象的です。表現が難しいけど重低音で明らかに他の打者と違う。佐藤輝明が入ってきたときも同じような衝突音を聞きました。ボールを飛ばす力で言えば、同じ右打者の森下翔太より上でしょう」と舌を巻く。

 創価大で「世代No.1スラッガー」として名を轟かせていた。2年春、4年春にリーグタイ記録の5本塁打を記録。3年の明治神宮大会では大会新記録の10安打を放った。左翼だけでなく、中堅から右翼の逆方向にも引っ張ったような力強い打球がスタンドに消えていく。昨秋のドラフト1位指名で広島日本ハム、阪神の3球団が競合して阪神が交渉権を獲得したが、「競合球団が思ったより少ない」と驚きの声が上がったほどだった。

レジェンドOBの新人時代


1980年、阪神へドラフト1位で入団した岡田。最終的には新人王に輝いた


 二塁、三塁を守る立石にとって阪神は定位置を獲得するのが最も難しい球団かもしれない。三塁には佐藤輝明、二塁には中野拓夢という球界を代表する不動のレギュラーがいる。立石と似た境遇で阪神にドラフト1位で入団した大先輩が、岡田彰布前監督だった。早大で「大学No.1野手」として評価を高めていた岡田氏に、当時史上最多の6球団がドラフト1位で競合。希望していた阪神が当たりクジを引いたが、本職の三塁には「ミスター・タイガース」で知られる掛布雅之氏がいた。

 当時の監督だったドン・ブレイザーは新人野手をいきなり起用しない方針を打ち出していたことも逆風だったが、その後に選手の起用法を巡り春先に電撃解任される事態に。5月中旬からスタメン起用された岡田氏はチーム事情で内野のあらゆるポジションを守り、108試合出場で打率.290、18本塁打、54打点をマーク。新人王を受賞している。

 岡田氏は週刊ベースボールのコラムで、以下のように語っている。

「あのとき、オレの前にはカケさん(掛布)がいた。今回、立石の前には佐藤輝明がいる。立石は学生時代、主に三塁を守り、二塁もOKということ。ということは立ちはだかるのは佐藤輝、そして中野(中野拓夢)。佐藤輝はホームラン王と打点王の二冠よ。オレがカケさんに感じたプロのすごさを、立石も佐藤輝に感じることになるわけよね」

「楽しみな選択肢が広がる」


「監督によって起用法は変わる。でもいまはそういう時代ではない。いいものはいい。よければ起用する。当然のことだが、立石はどう使われていくのだろうか。そこは藤川監督、首脳陣の考え次第だろうが、やはり佐藤輝の壁は厚くて強固だ。中野はセカンドで抜群の安定感。2023年にショートからコンバートしたのがハマった。2025年は143試合(守備に就いたのは142試合)に出てエラーが2つしかない、守備の要よ」

「となると果たして立石がショートを守れるのか、になる。2025年、阪神の遊撃は小幡(小幡竜平)、木浪(木浪聖也)、時に熊谷(熊谷敬宥)と固定するまでには至らなかった。2026年は小幡がリードという情勢。そこにショートを守れるなら、という条件付きで立石を登用。これは十分に考えられるプランだろう。さらに外野へのコンバートよ。うまくいけばレフトと六番問題が一気に解決するかも。立石を巡っては楽しみな選択肢が広がっているわけよ」

 立石は1月の新人合同自主トレで右脚の肉離れを発症し、別メニュー調整が続いていた。春季キャンプはファームの具志川組でスタートとなったが、9日から宜野座に合流。17日から再び具志川組に戻ったが、全体練習のメニューが消化できない状態であっても、一軍の舞台で活躍する選手たちと同じ環境に身を置いたことで学ぶことは多い。藤川監督の英才教育といえる。

 コンディションが万全と言えない中、ロングティーで大器の片鱗を見せた。故障の再発を避けるために慎重を期した調整が続くが、阪神の未来を背負うスラッガーの可能性は計り知れない。

写真=BBM
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